プロが教えるプラスチックカード作成の極意
- 2024.07.02
プラスチックカードは、会員証やIDカードをはじめ、様々な用途で利用される便利なアイテムです。デザイン作成や個人データの入力から印刷まで、プラスチックカードの作成にはいくつかのステップがあります。この記事では、プラスチックカード作成の基本的な知識を学び、効果的なカードを作成する方法をご紹介いたします。
目次
1.プラスチックカードの作成における基本知識
まずはじめに、プラスチックカードとは何か、主な用途や素材、サイズなどについて解説し、その後カードを作成する手順と方法について詳しく解説していきます。
1.1 プラスチックカードとは?
プラスチックカードとは、主にPVCやPETなどプラスチック素材で作られたカードのことを指します。一般的には、ショップやファンクラブなどの会員証、社員証や学生証、認定証や資格証といったIDカード、イベントの記念品や商品のおまけなどのノベルティカードなどが該当します。
プラスチック製のカードは、紙製のカードよりも耐久性や耐水性があり、綺麗な印刷や高級感のある加工などが可能です。また、オリジナルのデザインや色を自由に選択し、個人データの印刷・加工も容易に行えるため、多くの用途で利用されています。
1.2 プラスチックカードの主な用途
プラスチックカードは様々な用途で利用されます。その中でも、特に以下のような場面で使用されることが多いです。
①会員証やメンバーズカード
バーコードや磁気テープなどの加工が容易でポイント管理が可能、紙製と比べて耐久性もあり、使用頻度が高い会員証やメンバーズカードはプラスチックカードが適しています。
参考:会員カードや会員証、メンバーズカードを印刷、作成するときに読みたい記事
参考:必見!会員カード・メンバーズカードを作成する前に考える3つのポイント
②社員証や認定証などのIDカード
顔写真や氏名などの個人情報の加工が簡単にでき、永く使用することが多いIDカードは耐久性の高いプラスチックカードが最適です。ICカードなど、セキュリティを高めることも可能です。
参考:簡単解説!認定証や社員証など「プラスチック製IDカード作成」のポイント
③診察券
永く使用する病院やクリニックなどの診察券は、耐久性や耐水性の高いプラスチックカードがおすすめです。薄く、直接カードに筆記も可能な再生PETカードは、診察券でとても人気があります。
④ギフトカードやプリペイドカード
クオカードや図書カードNEXTをはじめ、カタログギフトなど種類が多く、オリジナルデザインで作成することも可能なため、プレゼントや記念品として人気があります。耐久性の高いプラスチックカードであれば、使用後も永く残しておくことができます。
参考:ギフトカード・プリペイドカードの定番!オリジナルクオカード
1.3 プラスチックカードの素材とサイズ・厚み
プラスチックカードの素材には、主にPVC(ポリ塩化ビニル)やPET(ポリエチレンテレフタレート)が使われます。PVCは耐久性に優れ、多くのオプション加工に対応しています。PETは薄くて弾力性があるため、用途に応じて選ぶことができます。
一般的なサイズは、縦85.6mm×横54mmで、JIS規格で定められたプラスチックカードのサイズになります。厚みはPVCが0.76mm、PETは0.25mmが標準になります。印刷会社によっては標準のサイズや厚み以外を希望することも可能で、用途やデザインに合わせて選択できます。
2.プラスチックカード作成の手順と方法
プラスチックカード作成の手順は、大まかに以下のようになります。
- デザインの作成とデータ入力
デザインはオリジナルデザインを作成するか、テンプレートを利用して決定します。会員証やIDカードなどで、顔写真や氏名などをカードに記載する場合は個人データも用意します。 - 印刷方法やオプション加工の選択
オフセット印刷やシルクスクリーン印刷、オンデマンド印刷など、デザインや用途、予算に応じた最適な印刷方法を選びます。また、必要なオプション加工も選択します。 - 金額とスケジュールの確認
用意したデザインを基に印刷会社へ見積をとります。併せて、注文から納品までのスケジュール感も確認します。 - 注文・納期決定
注文枚数や納期を確認し、作成を依頼します。 - 確認・受け取り
作成されたカードの確認を行い、問題がなければ受け取ります。
一連の手順を踏むことで、効率的にプラスチックカードを作成することができます。また、自社工場を持ったプラスチックカード専門の印刷会社をはじめ、カード作成に関するサービスを提供している会社が多く存在するため、自分に合った会社を選んで依頼することも重要です。
2.1 デザインテンプレートの選び方
デザインテンプレートは、IDカードや会員カードなどの印刷物を作成する際に便利なツールです。選び方についていくつかのポイントをご紹介します。
まず、用途に合ったテンプレートを選ぶことが大切です。会員証向け、診察券向け、社員証向けなど色々なデザインがありますので、目的に応じて適切なものを選びましょう。
次に、デザインの種類やカラーを検討します。シンプルなものから派手なものまで幅広く選択肢がありますので、ブランドやコンセプト、会社のイメージに合ったデザインを選びましょう。
また、テンプレートのサイズも確認しておくことが重要です。一般的なカードサイズは85.6mm x 54mmですが、場合によっては他のサイズも存在します。必要に応じて適切なサイズを選びましょう。
最後に、デザインテンプレートを提供しているサイトが信頼できるかどうかをチェックしてください。無料で利用できるテンプレートが多くありますが、著作権に関する規約や利用条件をよく確認しましょう。
2.2 データ作成のポイント
印刷物のデータ作成において知っておくべきポイントがいくつかあります。
- 入稿データの形式
一般的な印刷物は、Illustratorで作成されたデータで入稿いたしますが、印刷会社によっては、Photoshop、PDF、Word、Powerpoint、Excelでも入稿することが可能ですので、形式については入稿前に必ず確認してみてください。 - カラーモードと画像の解像度について
印刷物のデータは全てCMYKモードが推奨されます。入稿の際には、RGBからCMYKへ変換すると暗く沈んだ色に変わる恐れがあるため、必ずCMYKモードに変換し、色の調整を行ってから入稿してください。画像の解像度は350dpi以上が推奨され、解像度が低いとぼやけた仕上がりとなったり、また必要以上に解像度の高い画像で入稿すると印刷されない事があるので注意が必要です。 - 余白と塗り足しについて
デザインの際には、文字や画像など切れてしまってはよろしくない要素は、仕上がりサイズより2mmから3mm以上内側に収めて、カード端から十分な余白を確保してください。また、印刷時や型抜きの際に若干のズレが生じるため、カード端に白場が出てしまうと困る場合は、仕上がりサイズに対して2mmから3mm以上の塗り足しを付けるようにしましょう。 - 入稿ガイドを確認する
印刷に対応する入稿データや、入稿方法については印刷会社によって異なります。特殊な加工がある場合もございますので、それに合わせたデザインも考慮しましょう。作成を依頼する印刷会社の入稿ガイドラインを確認してから作成してみてください。
参考:プラスチックカードのデータ入稿で失敗しないIllustrator8つのチェック項目!
2.3 印刷会社の選び方
印刷会社を選ぶ際には、いくつかのポイントを考慮しましょう。
- 作成したいカードの種類や用途に対応しているかを確認する
印刷会社によって材質やサイズ・厚み、印刷方法やオプション加工などが異なりますので、適切な印刷会社を選ぶことが重要です。 - 価格や納期について比較する
印刷方法やオプション加工などによって金額は大きく異なってきます。見積書の仕様をしっかりと確認し、単価や送料などを含めて、総額で見積もりを取得することが大切です。また、納期についても確認し、スケジュールに合わせて選びましょう。 - 品質の確認
カードサンプルや過去の実績をチェックして、印刷品質が高いかどうかを判断しましょう。カードによっては、細かい文字や繊細な色味が求められる場合がありますので、きめ細かい対応ができる印刷会社が望ましいです。印刷会社によっては無料でカードサンプルを提供していただける会社もありますので、取り寄せてみるとよいでしょう。 - サポート体制の確認
カスタマーサポートやアフターサービスも重要です。問い合わせや相談がしやすく、迅速に対応してくれる印刷会社は信頼できるでしょう。印刷会社によっては経験や知識が豊富な専任の営業スタッフが付いてくれる会社もありますので、そのような会社を選ぶこともオススメです。
参考:【カードのことがよく分かる!】無料カードサンプルを取り寄せたい3つの理由
2.4 オプション加工の活用
オプション加工を活用することで、プラスチックカードをより魅力的に仕上げることができます。
例えば、箔押し加工やマットプレス加工といった特殊加工を利用することで、デザインに立体感や質感を与えられます。
また、印刷方法やインクの種類によっても、印刷物の印象が大きく変わります。高級感のあるメタリック印刷やパール印刷、ホログラム加工を利用することで、より高品質なカードを作成することができます。
このように様々なオプション加工を組み合わせることで、オリジナリティあふれるデザインが実現できます。印刷とオプション加工をうまく組み合わせて、印象に残るカードを作り上げましょう。
オプション加工を効果的に活用することで、カードの価値を高め、差別化が図れるでしょう。
参考:印刷?加工?プラスチックカードで高級感を演出する3つの方法
3.プラスチックカード作成のコストと納期
プラスチックカード作成には、デザインや印刷、データ加工など、さまざまな要素が関わっています。価格は、デザイン会社や印刷会社の料金体系、カードの種類やサイズ、発注ロット数などによって大きく異なります。また、カードの材質や色数、オプション加工も価格に影響を与える要素です。
納期は通常、データ入稿から印刷・加工、そして納品までの工程にかかる時間を指します。これには、データチェック、印刷、加工、検品、出荷など様々な工程が含まれます。納期は、印刷会社の作業スケジュールや注文ロット数、印刷や加工内容によって大きく変動します。通常、データ入稿後、おおよそ2週間程度が目安とされていますが、状況によってはさらに時間がかかることもあります。
3.1 価格と見積もりの注意点
プラスチックカード作成の見積もりを依頼する際には、料金が明確になっていることを確認しましょう。また、見積もりには通常、デザイン料、印刷料、送料などが含まれています。不明な場合はこれらの費用が含まれているかどうかを確認し、また、複数の会社に見積もりを依頼して比較検討することが重要です。追加料金やキャンセル料も事前に確認しておくと、後々のトラブルを回避できます。
3.2 納期の確認とトラブル回避
納期を確認する際、次の点に注意してください。まず、データ入稿後にデザイン修正や校正が必要といった可能性があることを理解し、余裕を持った納期を設定しましょう。また、納品後のトラブルを避けるために、発注前に素材や加工の確認、仕様の相談、サンプルなどのチェックが十分に行われていることを確認してください。繁忙期や大型の連休前には、通常よりも納期が遅れることがあるため、早めの入稿や注文がオススメです。
4.よくある質問と回答
4.1 Q&A
- プラスチックカードのサイズや厚みは?
- 一般的なプラスチックカードのサイズは、85.6mm x 54mmです。厚みはPVCは0.76mm、PETは0.25mmです。印刷会社によっては特殊な形状やサイズのカードも製作可能です。
- データ入稿方法は?
- データ入稿方法は、印刷会社によって異なりますが、一般的には、指定されたフォーマットやサイズで作成したデータを、メールや専用のアップロードページから入稿することが多いです。
- オリジナルデザインを持っていない場合は?
- オリジナルデザインがない場合でも、多くの印刷会社では、テンプレートやデザインサービスを提供しています。また、ロゴデータやラフデザインを用意すればデザインデータを作成してもらえる印刷会社もあります。ネット通販専門のウェブサイトでは、デザインツールを利用して簡単にオリジナルデザインの作成もできます。
4.2 PVCカードとPETカードの違い
PVCカードとPETカードは、どちらもプラスチック製のカードですが、異なる素材を使用しています。PVCカードはポリ塩化ビニルという素材で作られており、耐久性や加工性に優れています。一方、PETカードはポリエチレンテレフタレートという素材で作られており、薄いのが特徴です。また、環境にやさしい素材を使用して作られたPVCやPET素材もあります。
会社や個人が会員証やIDカードなどの用途で利用する際に、どちらのカードを選ぶかは、加工方法や価格、デザインによって異なります。なお、実際のカードを確認するために、サンプルを取り寄せて比較検討するとよいでしょう。
4.3 オンデマンド印刷とオフセット印刷の違い
オンデマンド印刷は、データ入稿・注文が入ってから印刷用の版を作成することなく、直接印刷機で印刷を行う、小ロット多品種に向いた印刷方法です。これに対して、オフセット印刷はロット数が多く、特色を用いた高品質な印刷が求められる場合に適した印刷方法です。
オンデマンド印刷は一般的にインクジェットやトナー印刷が使用され、個々のデータに応じた印刷が可能です。一方、オフセット印刷は版の作成が必要で、初期コストが高いものの、大量の印刷であれば単価が安くなるというメリットがあります。
用途や予算に応じて、どちらの印刷方法を選択するか慎重に検討することが重要です。
4.4 個人情報保護と対応策
プラスチックカードの作成において、個人情報保護は非常に重要なポイントです。個人情報を含むカードを取り扱う場合、データの安全性を確保するための対応策が求められます。例えば、データの暗号化、アクセス制限、サーバーのセキュリティ対策などが挙げられます。
また、印刷会社との取引の際には、個人情報保護に関する規約や方針を確認し、適切な対応がなされているか把握することが大切です。加えて、受注側と発注側双方において、社員教育や情報管理の徹底を行うことが望ましいです。プライバシーマークなど、個人情報保護に関する資格や認証を所有しているかどうかは、一つの目安になるでしょう。
5.まとめ:プラスチックカード作成のポイント
プラスチックカードの作成において、まずは素材選び、印刷や加工の選定、個人情報保護への対応などが重要なポイントです。PVCカードやPETカードの違いなどを理解し、用途やデザインに合ったものを選ぶことが大切です。
また、オンデマンド印刷やオフセット印刷などの違いを考慮し、予算や納期に応じて適切な印刷方法や加工を選ぶことが求められます。
さらに、用途によっては個人情報保護に関する対策を徹底し、安全かつ適切なカード作成を行うことが必要です。