プラスチックカードのメーカー選びガイド|発注先の決め方と直接発注のメリット・注意点
- 2026.05.14

プラスチックカードを初めて発注しようとしたとき、「どこに頼めばいいのかわからない」という壁にぶつかる担当者は少なくありません。名刺や冊子と同じ感覚で近くの印刷会社に相談してみたら、「対応できない」と言われた、というケースもよく耳にします。
実はこれ、相談先の選び方の問題であって、断られた印刷会社に問題があるわけではありません。プラスチックカードは専用の製造設備を必要とする製品であり、対応できる業者は「カード専門メーカー」と呼ばれる業態に限られます。
この記事では、カード専門メーカーとはどういう業態なのか、メーカーへの直接発注とはどういうことなのか、そして発注前に何を整理しておくべきかを解説します。はじめてプラスチックカードを発注する企業・団体の担当者の方に向けて、実務的な視点でまとめました。
【目次】
プラスチックカードに「専門メーカー」が存在する理由
カード専門メーカーとは、プラスチックカードの製造設備を自社で持ち、カード製造に特化した業態です。なぜこうした専門業態が存在するかというと、プラスチックカードは一般的な印刷物とは製造工程がまったく異なるからです。
紙への印刷であれば、オフセット印刷機やデジタル印刷機があれば対応できます。しかしプラスチックカードの製造には、PVC(塩化ビニール)やPET素材のカード成形・プレス工程が必要です。磁気エンコード・ICチップの実装・1枚ずつ異なる情報を印字するバリアブル加工なども、専用の製造ラインなしには対応できません。こうした設備を持っていない一般印刷会社が断るのは当然で、断られた側の発注仕様に問題があるわけではありません。
カード専門メーカーは、素材の選定から印刷・加工・品質検査・出荷まで、カード製造に特化した工程を一貫して担います。50年以上にわたってプラスチックカード製造に向き合ってきた知見があるメーカーであれば、「何を作りたいか」を伝えるだけで、用途に合った素材・仕様を的確に提案してもらえます。初めての発注でも、一から相談できるのが専門メーカーを選ぶ大きな利点です。
専門メーカー同士でも、得意領域はそれぞれ異なる
「カード専門メーカー」といっても、すべてのメーカーが同じ仕様に対応しているわけではありません。素材・加工・ロット帯・用途への対応幅はメーカーによって異なります。問い合わせ前にこの点を理解しておくと、無駄なやり取りを防げます。
素材・加工の対応幅
一般的な白PVCカードへの印刷対応は、専門メーカーであれば多くの場合可能です。一方で、透明素材やリサイクル素材の使用、台紙付きカード(台紙マッチング)やラベル付きカード(ワンパス印字)、磁気隠蔽加工などの特殊加工、ICチップの実装などは、対応できるメーカーとそうでないメーカーに分かれます。「この仕様は作れますか?」という確認を問い合わせの段階でしておくと、後から発注先を変える手間を防げます。
製造ロットと追加発行への対応
枚数によっても、向いているメーカーが変わることがあります。社員証や会員証のように追加発行が繰り返し発生する用途では、「小ロットの追加発行に対応してもらえるか」「再発注時のやり取りはスムーズか」が実務上の重要ポイントです。カードマーケットでは、国内自社工場での一貫製造体制により、小ロットの追加発行にも柔軟に対応しています。製造済みのベースカード(共通デザインのカード)を無料で預かり保管するサービスもあるため、追加発行のたびに一からやり直す手間を省けます。
バリアブル加工(個人情報の印字)への対応
社員証・診察券・学生証など、1枚ずつ氏名・番号・顔写真が異なるカードを作る場合は、バリアブル加工に対応したメーカーである必要があります。個人情報を扱う発注では、Pマーク(個人情報保護)を取得しているかどうかも確認しておきたい点です。
参考:カードの種類・仕様一覧
メーカー直接発注のメリットと注意点
印刷会社や代理店を経由せず、カード専門メーカーに直接発注することを「メーカー直接発注」といいます。何がうまくいきやすく、どこに注意が必要なのかを整理します。
直接やり取りできることの利点
最大の利点は、仕様の確認や調整を製造側と直接できることです。「この加工は可能ですか?」「この枚数での納期感は?」という質問に対して、製造の実態を知るスタッフが直接答えてくれます。代理店経由では伝言ゲームになりやすい細かいニュアンスも、直接なら正確に伝わります。
品質面でも、製造から品質管理・出荷まで国内自社工場で一貫して担う体制のメーカーであれば、仕上がりが安定しやすく、仕様変更や急ぎの対応にも柔軟に応じてもらいやすいです。
カード以外のアイテムは別途手配が必要
注意したいのは、カード専門メーカーはカードの製造に特化しているため、封筒・チラシ・ポスターといった他の印刷物はあわせて手配できない点です。キャンペーンの同封物など、カードと他の印刷物をまとめて発注したい場合は、代理店や総合印刷会社に間に入ってもらう方がスムーズなこともあります。何を一括で手配したいかによって、発注先の選び方は変わってきます。
こんな企業・担当者が専門メーカーを選んでいる
カード専門メーカーへの直接発注は、特定の業種や規模に限られるわけではありません。実際に多く見られる発注者層を紹介します。
医療機関(診察券・職員証)
病院・クリニック・歯科医院などの医療機関は、診察券や職員証の製作でカード専門メーカーを利用するケースが多いです。患者番号・バーコード・磁気情報が入る診察券は専門設備が必要で、個人情報を扱う観点からPマーク取得メーカーへの直接発注が選ばれます。
印刷会社・広告代理店(OEM・外注発注)
印刷会社や広告代理店が顧客からプラスチックカードの案件を受けた際に、カード専門メーカーへ外注するケースは珍しくありません。クライアントへの窓口は自社が担いながら、製造は専門メーカーに任せるかたちです。カードマーケットでも、同業他社からの相談・OEM受注の実績があります。
企業の総務・購買担当(社員証・会員証)
社員証・会員証・ポイントカードの製作では、バリアブル加工(個人情報の印字)が必要になることが多く、専門メーカーへの直接発注が選ばれます。継続的な追加発行を見込んでいる場合は、同じ仕様での再発注がスムーズにできるかどうかも選定の基準になります。
イベント主催者・企画会社(スタッフパス・イベントパス)
フェスや展示会、オンラインサロンのスタッフパス・イベントパスも、専門メーカーへの直接発注が多い用途です。枚数・サイズ・デザインの自由度が必要で、特殊サイズや特殊素材への対応幅が広いメーカーが選ばれます。イベントごとにデザインが変わる場合でも、仕様さえ統一しておけば再発注がスムーズです。
参考:用途から探す
発注前に整理しておきたいこと
専門メーカーへの問い合わせをスムーズに進めるために、事前に以下の4点を整理しておくと、やり取りがぐっとスムーズになります。
① 何のためのカードか(用途)
会員証・診察券・社員証・スタッフパスなど、用途によって必要な素材・加工・セキュリティ要件が変わります。用途が決まっていれば、メーカー側からも具体的な提案が出てきます。
② 何枚作るか(枚数と追加発行の見込み)
初回の発注枚数と、今後追加発行が発生するかどうかを整理しておくと、製造方式の提案が具体化します。追加発行が繰り返し発生する場合は、ベースカードの預かり保管も含めた提案が受けられることがあります。
③ いつまでに必要か(納期)
スケジュールに余裕があるか、急ぎの案件かによって対応できる製造方式が変わることがあります。色確認の校正工程を含める場合は、校正用の期間(約2週間)も見込んだ全体スケジュールで確認すると安心です。
④ 特殊な仕様の有無
ICチップ・磁気・バーコード・バリアブル加工・特殊素材など、標準的なPVCカード以外の仕様が必要な場合は、最初の問い合わせ時点で伝えておくと対応可否をすぐに確認できます。
FAQ:よくある質問
- Q. 一般の印刷会社に断られました。なぜ専門メーカーなら対応できるのですか?
- A. プラスチックカードの製造には、カード成形機・磁気エンコーダー・ICチップ実装機など、一般印刷会社が持っていない専用設備が必要です。断られたのは品質や意欲の問題ではなく、物理的に設備がないためです。カード専門メーカーはこうした設備を自社で保有しているため、同じ仕様でも対応が可能です。
- Q. デザインデータがまだない段階でも相談・見積もりはできますか?
- A. はい、できます。仕様の確認や概算見積もりはデザインデータなしで依頼できます。用途・枚数・希望仕様(素材・加工・サイズ)・希望納期の4点を伝えるだけで、具体的な提案と概算金額を出してもらえます。ICチップ・磁気・バリアブル加工など特殊な仕様がある場合は、その旨をあわせて伝えておくと対応可否をすぐに確認できます。
- Q. 代理店経由とメーカー直接発注では、何が変わりますか?
- A. 代理店経由の場合、カード以外のアイテム(封筒・チラシなど)とまとめて手配できる点が利点です。一方、メーカー直接発注は仕様確認・品質管理・トラブル時の対応が製造側と直接つながるため、細かい要望の伝達がスムーズです。カードの仕様が複雑なほど、メーカー直接発注が向いている傾向があります。
- Q. 初めての発注でも、相談から対応してもらえますか?
- A. はい。仕様が固まっていない段階からの相談を受け付けています。「何を作りたいか」を伝えれば、素材・加工・枚数の選定まで含めた提案をさせていただきます。
まとめ
プラスチックカードの製造は、専用設備を必要とする専門領域です。一般印刷会社に断られるのはよくある話で、カード専門メーカーという業態が別に存在するのはこのためです。
専門メーカーへの直接発注は、仕様確認から品質管理まで製造側と直接つながれる点で、仕様が複雑な案件ほど向いています。メーカーによって素材・加工・ロット帯の得意領域が異なるため、「何を作りたいか」を事前に整理してから問い合わせると、やり取りがスムーズに進みます。
用途・枚数・納期・特殊仕様の4点を事前に整理しておくと、初回の問い合わせから話が具体的に進みます。まずは気軽に相談してみてください。
プラスチックカードの製作はカードマーケット(カーディナル株式会社)へご相談ください
プラスチックカードの発注先をお探しの企業・団体の担当者の方は、ぜひカードマーケットへご相談ください。
カーディナル株式会社は、創業50年以上・国内自社工場を持つプラスチックカード製造の専門メーカーです。長年の経験と技術の積み重ねを背景に、取引社数6,000社以上の実績を持ち、会員証・診察券・社員証・イベントパスなど、あらゆる用途のカードに対応しています。「どんな仕様にすればいいかわからない」「小ロットでも対応してほしい」といったお悩みにも、専門スタッフが丁寧にご提案いたします。品質管理体制や製造工程については、【品質へのこだわり】ページで詳しくご紹介しています。







