プラスチックカードの発注先業者を切り替える。変更の際に気を付けたいポイント
- 2022.01.26
今回のコラムでは、プラスチックカードの発注担当者に向けて、「プラスチックカードの発注先の業者を変更する」場合に気を付けたいポイントを分かりやすく解説します。コストが高い、対応が悪い、納期にルーズなど、業者の切り替え理由で多いものは?発注先を変更する前に確認するポイントは?注意するポイントは?新しい発注先に依頼をする流れは?などを解説しています。
目次
- どんな理由でカードの発注先を変更するの?
- カードの発注先を変更する前に確認するポイント
- いざカードの発注先を変更する際に注意するポイント
- カード発注先変更の流れ
1. どんな理由でカードの発注先を変更するの?
1.1納期が守られない
これはカードに限らずサービスを提供する企業であれば全ての会社に求められることですが、特にBtoB(企業間取引)サービスにおいては、期日までに品質の安定した商品を納品する、納期遅延を起こさないことは必須になります。納期遅延が多く、取り引き先としての信用が保てない、というケースは少なくありません。
1.2 見積もりや納期対応を含め、顧客対応に不満
年に1度の発注であればともかく、発注頻度が高い場合は、見積もりや納期への対応や、コミュニケーションの距離感など、小さなことでもストレスになるものです。人間同士ですから営業担当者との相性もありますが、文化的にそういったスタンスの会社もありますので、もし業務に支障をきたすような状況であれば、他社にその不満部分を聞いてみるのもよいでしょう。
1.3 コストダウンを図りたい
今のカード製作費用が高いなとお考えの場合は、一度営業担当者に相談して希望を伝えてみてください。厳重なチェックで品質トラブルを未然に防ぐなど、単純な安い高いで計れない目に見えにくいコストもありますので、率直に希望を伝えた上で、費用に対して高いか安いかを判断されるとよいかと思います。
1.4 現在の発注先が廃業してしまった
これは致し方ありません。社会のデジタルシフトにともない印刷業界は依然厳しい状況が続いていますので、このような判断を下す会社もあることでしょう。ただ、もし廃業前に知ることができた場合は、デザインデータ(版下データ)を引き取ることができないか相談してみましょう。現物見本もあるとベストです。手元にデザインデータがあれば、他の業者に発注する場合でもスムーズにおこなえます。
2 カードの発注先を変更する前に確認するポイント
2.1 切り替える目的や選定の基準を明確にする
手間と場合によってはコストを掛けて業者を切り替えたのに、満足いかない、イメージしたものと違う、ということにならないよう、先述した「よくある切り替え理由」を参考に、なぜ業者を切り替えるのか、次の業者は何を優先して選ぶのか、基準を作っておくことで、不幸なミスマッチを予防することができます。
2.2 見積り依頼と内容の確認
見積もり依頼をする場合、プラスチックカードに詳しい方であれば問題はありませんが、仕様などしっかり把握できていない場合は、できれば現物を渡して実際に見てもらうようにしてください。発注する段階になって現物などを業者に渡すと、一部の加工が見積金額に含まれていないので金額が変わります、などということもよく起こりがちです。とくにネットショップのような表示金額を低く抑えている業者では、総額料金に含まれる作業の範囲が異なる場合もありますので、現物をベースにしっかり擦り合わせを行うことをお薦めします。
3 いざカードの発注先を変更する際に注意するポイント
3.1 はじめに
再度見積もりをもらったら、今までよりも価格が高くなってしまった!なんてことにならないように、発注先を切り替えたい場合はしっかりと現在の仕様を把握しておくことが大事になります。不安な場合は現物を渡して確認してもらうようにしましょう。
3.2 デザインデータ(版下データ)が手元にない
いざ切り替えようとなった段階でよくありがちなのが、デザインデータ(版下データ)が手元にない、という問題です。少なくともプラスチックカードを作製する上でデザインデータ(版下データ)が無いと作ることが出来ません。ただ、そのような場合でも現物カードが手元に1枚あれば、再現度の精度という問題は別にしてカードからデータを起こすことは可能です。
3.3 バーコードカードの発行番号
バーコードカードにおいて、発行番号の管理を現在発注している業者におまかせしていたので次はどの番号から発行してよいかわからないといった問題があります。次の発行番号が不明だと重複発行のトラブルを招く恐れがあり、大変危険です。万が一重複した番号のカードが流通してしまうと、案件によってはカードの回収が難しいなど新たな問題が発生する可能性があります。
3.4 ICカードでの注意点
ICカードでよくありがちなケースですが、ICカードによっては内蔵のICチップに固有の情報が書き込まれている場合があります。その固有の情報について、どこに何を書くのか(エンコードフォーマット)がわからないといったことがあります。ICカードの製造や発行を行っている業者ではICチップの情報を読み取ることが可能な場合がありますが、大抵のICカードは一部鍵が掛けられて情報が解読できないことが多く、そのような場合は他社での作製は難しく、現行の業者で引き続き依頼をしていただくしかありません。
3.5 その他、権利や設備等の注意点
稀にあるのが、現在の業者でしかそのカードを作製できない、というケースです。特許関係だったり、製造業者の縮小で設備的に作製可能な業者が限られている、など理由はいくつかありますが、そのような場合は当然ながら他社で作ることが困難になりますので注意が必要です。
3.6 事前の見積もり金額と変わる
業者との折衝を行っていく中で書面や口頭ベースでの情報のやりとりしか行っていなく、いざ発注の段階になって現物カードを確認したら見積もりの仕様と異なっており、金額が変わってしまうといったこともたまに起こります。例えば、一見磁気テープは無さそうに見えたカードでも実は磁気テープが隠蔽されたカードだった、などです。
4 カード発注先変更の流れ
4.1 手元にデザインデータ(版下データ)がある
発注先を切り替えたいと思った場合、手元にデザインデータ(版下データ)があれば難しいことはありません。気になる業者を選択し、現物カードや仕様書を元に見積もり依頼をしていただき、価格に納得出来ればデータを渡して作製をお願いしてください。
4.2 手元にデザインデータ(版下データ)がない
いま手元にデザインデータ(版下データ)がない場合でも、プラスチックカードを作製するために、データを用意しなくてはなりません。
現在お願いをしている業者からデータを提供してもらえれば手間はかかりませんが、基本的には発注先を切り替えることを嫌がりますので、作製したデザインデータなどを容易に渡すことは考えられません。ただし、転出後はその業者にとって価値のないデータになってしまいますので、デザインデータの買取で解決することもあります。「話もしたくない!」という絶縁状態でなければ、相談してみるのも良いでしょう。
それでもデザインデータが手に入らない場合は、現物のプラスチックカードが手元に1枚あれば、それを目視やスキャナーで読み取るなどして、同じデザインのカードを作ることが可能です。色味については若干の差異が生じます。新たな発注先に現物見本を元にデータを作製できるか確認してみましょう。