サインパネル・シルクパネル加工とは?|プラスチックカードにおける基本から活用事例までを解説
- 2025.12.22

プラスチックカードと聞くと、ポイントカードや会員証などを思い浮かべる方が多いでしょう。実は、これらのカードは「ブランドと顧客をつなぐ小さな接点」です。触れたときの質感やデザインの印象が、そのままブランド体験につながります。
カードに署名欄や手書きスペースを設けたいとき、通常の印刷では油性ペンがはじいてしまったり、デザインと筆記欄のバランスが取りづらかったりする課題があります。そんなときに活躍するのが「サインパネル加工」や「シルクパネル加工」です。
一般的には「サインパネル」と呼ばれることが多いですが、実は作りたいデザインや用途によって、最適な加工方法は異なります。本稿では、カードの実用性と見た目を両立させるためのパネル加工の基本や、意外と知らない種類、活用のコツをプロの視点からわかりやすく解説します。
【目次】
サインパネル・シルクパネル加工とは?
プラスチックカードに署名や日付、名前などを書けるスペースを設ける加工が、サインパネル・シルクパネル加工です。一見シンプルですが、本人確認や記録管理に不可欠な機能です。
特殊なホワイト層や透明層を重ねることで、ボールペンや鉛筆でも文字がにじみにくく、長くきれいに保てます。社員証や会員カードに署名欄として取り入れれば、本人確認がスムーズになり、管理の手間も減らせます。
さらに、磁気ストライプやICチップと組み合わせれば、手書き情報と電子情報を1枚のカードで両立可能。アナログとデジタルのメリットを活かし、利便性とセキュリティを両立できます。
サインパネル(さいんぱねる)|用語集ページ
https://cardmarket.jp/article/glossary/16/
シルクパネル(しるくぱねる)|用語集ページ
https://cardmarket.jp/article/glossary/19/
プラスチックカードで使えるサインパネルの種類
サインパネルとシルクパネル、どう違う?
お客様からよく「サインパネルとシルクパネルは何が違うの?」というご質問をいただきます。結論からお伝えすると、「目的は同じですが、加工方法と選べる色」が違います。
● サインパネル(箔押し)
白い「箔(テープ状の素材)」を熱で圧着します。「白」で仕上げたい場合の主流です。
● シルクパネル(シルク印刷)
筆記用のインクをプリントします。「透明」にしたい場合や、スタンプを押したい場合、または薄いカードに加工したい場合に選ばれます。
「カードに書き込みができるようにしたい」とご相談いただければ、カードの厚みや用途、デザインに合わせて、私たちが最適な方法をご提案いたします。
下記で、お客様が選ぶ際の目安となる「仕上がりのタイプ別」に、代表的な3種類の特徴をまとめました。
①ホワイトタイプ
ホワイトタイプは、プラスチックカードの表面に白い筆記層を設け、ボールペンや油性ペンで記入できるようにする加工です。署名や記名、日付などをはっきり書きたいときに、最もよく使われます。
● 加工方法
加工方法(2パターンあります)
・箔押し(サインパネル)
白い箔を熱で圧着します。「白」にしたい場合は、摩擦に強く耐久性が高いこの方法が主流です。
・シルク印刷(シルクパネル)
白いインクをプリントします。薄いカードなどに白地を作りたい場合に使用します。
● 特徴
マットな質感で書きやすい。摩耗しにくく長期間使用可能。
● 用途例
クレジットカード署名欄、会員証・社員証・診察券の記名欄
②透明タイプ
透明タイプは、デザイン性を重視したカードに使われる加工で、透明な筆記層を形成して記入を可能にします。罫線など背景デザインをそのまま見せつつ、書き込み機能を保てるのが特徴です。
● 加工方法
シルク印刷(シルクパネル)
※透明な加工は「箔押し」ではできないため、すべてシルク印刷での対応となります。
● 特徴
透明でインクが定着しやすく、マット感のある質感。デザイン性を損なわないのが魅力。
● 用途例
ブランド・ショップカード、限定キャンペーンカード、プレミアム会員証
③スタンプ捺印対応タイプ
スタンプ捺印対応タイプは、店舗のポイントカードや来店証明カードなどで使われる、スタンプや押印に特化した加工です。
● 加工方法
シルク印刷(シルクパネル)
※スタンプインクの吸着性を高める特殊インクを使用するため、すべてシルク印刷での対応となります。
● 特徴
インク吸収性高く、スタンプ形状をくっきり保持。繰り返し押印にも耐える。ただし、スタンプインクによっては吸着性が良くない場合もあるので注意が必要。
● 用途例
来店ポイントカード、スタンプラリーカード、会員証チェック欄
他加工との組み合わせで生まれるデザイン効果
他の特殊加工と組み合わせることで、機能性だけでなくデザイン面でも大きな付加価値を生みます。
● 組み合わせ例
○ エンボス加工:筆記欄に立体感を出し、記名位置を視覚的に誘導。
○ 箔押し加工:ロゴや境界線に金・銀箔を使い、署名欄を装飾的に演出。
○ マット/グロス仕上げ:サイン欄部分の質感を変えることで触感の差を生み、デザインに深みを持たせます。
● 効果例
○ 見た目の高級感向上
○ ブランドイメージの統一
○ 書く行為自体がカード体験の一部に
サインパネル加工付きカードの事例
ここからは、実際にサインパネル加工がどのように活用されているのか、具体的な事例を交えて紹介していきます。
箔押しやプレミアム仕様を組み合わせた事例
Vtuber様のファンカードを作成させていただきました。サインパネルに加え、箔押し加工を取り入れることで、高級感と実用性を両立。VIP会員証や限定デザインカードに最適です。


プラスチックカード作成・事例|緑李しゃお様(VTuber)ファンカード
https://cardmarket.jp/article/case/syao
サインパネル加工付きカードのメリット
誰でもきれいに書ける機能性
サインパネル加工の最大の魅力は、「誰でもきれいに書ける」機能性にあります。カード表面に特殊コート層を設けることで、油性ボールペンや油性マーカーが滑らかに走り、にじみやかすれを防ぎます。
● 安定した筆記性能
表面の微細なマット層がインクを適度に吸収し、筆跡をしっかり定着させます。署名、日付、会員番号などの記入も、長期間にわたって読みやすい状態を維持できます。
● 摩耗や劣化への強さ
サインパネル層は、日常的な摩擦や湿気にも強く、頻繁に持ち歩く診察券や社員証でも記入部分が薄れにくいです。
利用例:会員証・社員証署名欄、診察券、ポイントカード
ブランド価値や高級感を演出できるデザイン性
もう一つの大きなメリットは、デザイン面での付加価値です。サインパネルは、書き込みスペースを機能だけでなく「ブランド演出の一部」としてデザインに溶け込ませることができます。
● デザインとの一体化
ホワイトや透明タイプを選ぶことで、背景デザインやロゴとの統一感を保ちながら筆記エリアを自然に配置できます。特にブランドカードや限定メンバーズカードでは、この視覚的一体感が高級感を高めます。
● 加工表現の幅
箔押しやエンボス加工との組み合わせにより、署名欄そのものをデザイン要素として見せることも可能です。「書く」という行為を演出の一部に取り込み、カードを特別な体験として印象付けます。
利用例:VIPカード、アーティスト限定カード、高級店舗メンバーズカード
サインパネル加工のデメリット
加工可能なカードの厚みが限定される
サインパネル加工が可能なのは、0.76mm厚のカードのみです。これはクレジットカードやキャッシュカードと同じ、国際規格(ISO/IEC 7810)で定められた標準的な厚みです。
0.25mm、0.48mm厚の薄型カードにサイン欄を設けたい場合には、シルクスクリーン印刷で加工を行うことができます。
シルクパネル(スクリーンパネル)|用語集ページ
https://cardmarket.jp/article/glossary/19/
発注時に押さえておきたいポイント
サインパネルカードの仕上がりを左右するのは、実は「発注前の準備」です。ここでは、失敗しないために押さえておきたいチェックポイントをお伝えします。
加工品質を左右する業者選び
● 実績と経験
会員証や診察券など、筆記欄付きカードの制作実績が豊富かを確認しましょう。実際のサンプルを見れば、白地の発色や筆記性などの仕上がりを具体的に把握できます。
● 技術力と設備
ホットスタンプやUV印刷など、複数の加工方法に対応できる設備を持つかが重要です。摩耗テストや検品体制が整っていれば、長期使用でも品質を維持できます。
● 対応力とコスト
デザインや仕様に応じた的確な提案ができるかも信頼度の指標です。価格だけでなく、納期・品質・サポート体制のバランスを重視しましょう。
見積もり依頼時の確認するべき項目
● 枚数
多くなるほど1枚の単価は下がります。必要枚数を正確に伝えましょう。
● カード素材とサイズ
PVCやPETや、カードの素材や標準サイズ(85.6×54mmなど)などを明確にします。
● 希望するサインパネルの種類
ホワイト/透明/スタンプ対応など、仕様を具体的に伝えます。
● 記入欄のデザインや面積
面積や複雑さによってコストが変わるため、データを添付すると正確です。
● 納期
短納期の場合は追加費用の可能性もあるので、早めに相談しましょう。
デザインデータ入稿時の注意点
● ベクターデータで作成
Illustratorなどのパスデータで作成し、拡大しても文字や線がにじまない状態で入稿します。
● 単色指定
記入欄部分は単色レイヤーで分け、他の印刷データと混ざらないようにします。
● 線や文字の太さ
細すぎる線や小さな文字は潰れる可能性があります。業者の推奨サイズを確認してください。
納期とスケジュール管理
● 余裕を持ったスケジュール設定
納期の目安は2週間ほどですが、初めての発注や複雑なデザイン、大ロットでは余裕をもって計画しましょう。
● 試作・校正で仕上がり確認
生産前に確認できる試作カードを作ることで、仕上がりのトラブルを防げます。
これらを意識することで、仕上がりの品質を安定させつつ、イメージ通りのサインパネルカードを制作できます。
まとめ|サインパネル加工付きカードで付加価値を最大化
サインパネル加工を活用すれば、プラスチックカードの実用性とデザイン性を高いレベルで両立できます。
「どのパネルを選べばいいか分からない」という場合も、どんな用途で使用したいかを教えていただければ、材質や厚みに合わせた最適なパネルをこちらで選定し、お見積りさせていただきます。
カーディナルは、これまでに累計25億枚以上のプラスチックカードを製作し、印刷会社や広告代理店、デザイン会社など、幅広い業種の企業様にご利用いただいております。専門的なサポート体制も整っており、初めてのご利用でも安心してご相談いただけます。まずはお気軽にお問い合わせください。







