リサイクルPVCカードの可能性!端材活用で生まれ変わる次世代エコカード
- 2024.07.02
近年、環境に配慮したビジネスモデルの推進と、SDGs(持続可能な開発目標)への注目が高まる中、企業や個人は環境保全を意識した多様な取り組みに力を入れています。その中でも、プラスチック製品の使用量削減は、サステナブルな社会を実現するための重要なステップとされています。もちろん、プラスチックカードも例外ではなく、環境負荷を考慮した選択が求められています。従来のプラスチックカードは、石油由来の原料を使用し、二酸化炭素の排出量が多いことから、環境負荷が懸念されてきました。
そこで注目を集めているのが、リサイクルPVCカードです。プラスチックの端材や不良品などを集めて再利用して作られたリサイクルPVCカードは、CO2排出量を削減し、カーボンニュートラルな社会の実現に貢献すると共に、資源保全の観点からも次世代に向けた持続可能な資源を有効活用できる次世代型のカードです。
この記事では、そんなリサイクルPVCカードの魅力に迫ります。環境保全への貢献はもちろん、企業や組織のエコ意識の高さをアピールし、ポジティブな企業イメージの構築にも繋がるリサイクルPVCカード。その特徴やメリット、さらにはデメリットまでを詳しくご紹介します。
リサイクルPVCカードとは
カーディナルが作るリサイクルPVCカードは、製造工程で発生するカード用のバージンPVCシートの端材や、市場に流通できず不良品となったバージンPVCシートを再利用して作られた原料を用いた、環境配慮型のプラスチックカードです。
PVC素材を用いたプラスチックカードは、印刷をするコアシートに、印刷面を保護するオーバーシートを両面に貼り付けた3層構造になっていますが、いずれもリサイクルPVC素材を使用した、100%リサイクルPVCのカードになっています。
各シートに使用されているリサイクル材の使用率は次のとおりです。
・コアシート 約98%
・オーバーシート 約93%
また、これらのリサイクルPVCシートは、世界で最も影響力のある安全規格の一つとされる、アメリカの認証機関「Underwriters Laboratories Inc.」(アメリカ保険業者安全試験所)が策定する規格、UL規格のUL2809認証を取得したリサイクルPVCシートです。
リサイクルPVCカードのメリット
リサイクルPVCカードは、通常のPVCカードと比べて、次のようなメリットがあります。
①環境負荷の軽減
リサイクルPVCカードは、通常のPVCカードと比べて、石油由来の原料の使用量を90%以上削減できます。これは限りある石油資源の枯渇を防ぎ、地球環境への影響を最小限に抑えます。
さらに、リサイクルPVCシートの製造過程における二酸化炭素(CO2)の排出量も、バージンPVCシート製造時より50%以上削減できるので、地球温暖化対策にも効果的な素材といえます。
②資源の有効活用
リサイクルPVCカードは、バージンPVCシートの製造過程で発生するプラスチックの端材や、検査で不良と判断され市場に流通させることができない不良品を再利用して作られた原料を使用しているため、資源の有効活用に貢献できます。
通常のPVCカードは、製造過程で多くの廃棄物を出しています。しかし、リサイクルPVCカードは、これらの廃棄物を原料として再利用しているので資源を有効的に活用できるのです。
③高品質な仕上がり
リサイクルPVCカードは、通常のPVCカードと同等の品質で仕上げることができます。 標準的な印刷や加工も問題なく行えますので、これまでのカードと同じく安心してお使いいただけます。
④SDGsへの貢献
リサイクルPVCカードは、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」に貢献できます。
SDGsとは、2030年までに持続可能な社会を実現するための国際目標です。リサイクルPVCカードは、資源の有効活用や環境負荷の低減を通じて、SDGsの達成に貢献できます。
⑤企業やブランドイメージの向上
リサイクルPVCカードで作られた会員証やメンバーズカードなどを導入することは、企業やブランドの環境への配慮、意識の高い企業姿勢を示すことができます。
環境問題への意識が高まる現代においてリサイクルPVCカードの導入は、顧客やファンへのイメージアップにつながるツールとして最適です。
⑥SDGsマークやリサイクルマークが印刷可能
リサイクルPVCカードはSDGsのロゴマークやユニバーサルリサイクルシンボル(リサイクルマーク)をデザインに加え、印刷することが可能なため、サステナブルな取り組みを視覚的にアピールできます。
ただし、SDGsのロゴマークを使用する場合、許可が必要になるケースがありますので、プラスチックカードのデザインに用いる際は注意が必要です。
参考:SDGsのロゴは自由に使える?使用時の注意点や許可について解説します
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リサイクルPVCカードのデメリット
一方、リサイクルPVCカードは通常のPVCカードと比べて、次のようなデメリットがあります。
①認知度の低さ
近年の環境意識への高まりから注目されてきているリサイクルPVCカードですが、プラスチックカードにおいては比較的新しい技術で作られたカードであり、あまり広くは浸透していません。リサイクルPVCカードは、多くの企業や団体にとって新しい選択肢であり、その普及には時間が必要です。
②導入コストが高い
リサイクルPVCカードは、通常のPVCカードよりも資源保全と環境負荷に配慮する材料の製造工程にコストがかかるため、やや割高になってしまう場合があります。
①で前述したように、まだまだ認知度が低いこともあり、通常のPVCカード並の生産量には至っていないこともコストが高くなる要因となっています。
③リサイクル率の低さ
リサイクルPVCカードの材料となるプラスチックシートは、バージンPVCシートの製造過程で発生する端材や、不良となって市場に流通できなかったシートを再利用して作られていますが、実際にリサイクルに回される割合は低いのが現状です。
リサイクル技術の向上やインフラ整備にもまだまだ課題があり、これらの問題は②のコスト高につながる要因にもなっています。
④素材の白さが劣る
リサイクルPVCカードは、通常のPVCカードと比べて、素材自体の白さに差が見られる場合があります。素材の白さは印刷に影響を及ぼすことがあり、デザインによってはイメージと異なる仕上がりになることがあるので、注意が必要です。
仕上がりが気になる場合は、事前にサンプルを作成し、確認することをおすすめいたします。
リサイクルPVCカードの導入は、環境保全とSDGs達成に向けた重要な一歩ですが、その普及と進化には、さまざまな課題があります。これらのデメリットを克服し、より多くの企業や団体が環境にやさしい選択をすることが、持続可能な未来に繋がります。
リサイクルPVCカードの印刷・加工適正
カーディナルで作るリサイクルPVCカードは、通常のPVCカードと同等の印刷や加工ができますが、一部できない印刷や加工もあります。以下に表でまとめてみました。
■厚み
リサイクルPVCカード | PVCカード | |
0.76mm | ○ | ○ |
0.48mm | *(要お問い合わせ) | ○ |
0.56mm(ラミなし) | ○ | ○ |
0.28mm(ラミなし) | *(要お問い合わせ) | ○ |
■印刷
リサイクルPVCカード | PVCカード | |
オフセット印刷 | ○ | ○ |
シルクスクリーン印刷 | ○ | ○ |
デジタル印刷 | × | ○ |
■主な加工
リサイクルPVCカード | PVCカード | |
オフセット全面印刷 | ○ | ○ |
磁気テープ | ○ | ○ |
シルクパネル | ○ | ○ |
サインパネル | ○ | ○ |
箔押し | ○ | ○ |
エンボス | ○ | ○ |
印字 | ○ | ○ |
写真加工(昇華転写・再転写) | ○ | ○ |
磁気テープ隠蔽加工 | *(要お問い合わせ) | ○ |
リサイクルPVCカードの用途
リサイクルPVCカードにおすすめしたい用途、利用が多い用途をご紹介します。
①会員証・メンバーズカード
会員証やメンバーズカードは、アパレル関係を中心に利用が徐々に広がってきています。環境にやさしいリサイクルPVCカードを導入することで、企業や団体が資源を大切にする姿勢をアピールすることができます。このことが会員や顧客への信頼獲得にもつながり、企業やブランド、団体のイメージ向上に貢献します。
②社員証・資格証・認定証
社員証や資格証など、定期的に新しいものを発行する必要がある場合、リサイクルPVCカードを使用することで無駄を減らし、資源を効率的に利用することができます。顔写真加工も通常のPVCカードと同様に可能ですので、リサイクルPVCカードの導入・切り替えはおすすめです。
③印鑑登録証や図書館の利用カード
全国の市町村の印鑑登録証や図書館の利用カードでは、以前から環境に配慮したカードとして、PET-Gカードの人気が高く、採用する自治体が多くなっていました。カードを焼却したときに有害なガスの発生が抑えられることで導入の多いカードでしたが、使用する素材は石油由来の原料を使用しているため、環境負荷の低減にはやや劣るものでした。
一方で、リサイクルPVCカードの素材は、通常のPVCカード素材を製造する過程で発生する端材や、不良となって市場に流通できなかったものを再利用して作られたものを原料としているため、PET-Gカードと比べても断然環境にやさしいカードになっています。
今後、リサイクルPVCカードの認知度や市場への流通量が増えてくれば、PET-Gカードから置き換わってくることが予想されます。
まとめ
リサイクルPVCカードは、環境負荷を低減し、資源を有効活用できる、地球にやさしい次世代型のカードです。
環境問題への意識が高まる今、リサイクルPVCカードは企業や団体、個人のSDGsへの取り組みを形にする選択肢の一つとして、大きな可能性を秘めていますが、認知度やコスト、リサイクル率などの面でまだまだ課題があります。
これらの課題を解消していくためには、技術開発やインフラ整備、人々にこのカードの魅力を伝える啓発活動が不可欠です。カーディナルもその一助となれるよう本記事を書きました。地球にやさしいリサイクルPVCカードが、より多くの人に受け入れられる日が来ることを願っています。
リサイクルPVCカードにご興味がある方、導入をご検討されている方へ、サンプルもご用意しています。是非、お気軽にお問い合わせください。