【ファングッズ制作ガイド】推し活に最適な小ロット印刷の特徴や印刷方法を紹介
- 2025.01.08
最近、アイドルやスポーツ選手、キャラクターを応援する推し活が人気です。推し活向けのグッズも販売されています。特に推し活グッズは、同じものを大量に生産するのではなく、様々な種類を少量ずつ作成したい需要が高い傾向がみられます。
カーディナルはオリジナルカードでの多品種小ロットでの製作を得意としており、これまでも様々なご相談をいただいてきました。これまでの経験をもとに、本記事では推し活グッズ作成にあたっての小ロット印刷に適した印刷方法を紹介します。
ぜひ、推し活グッズの作成を検討している方は参考にしてください。
推し活とは
そもそも推し活とは、自分の応援しているアイドルや芸能人、キャラクターを応援する活動です。推しの対象は非常に幅広く、以下のようなものが含まれます。
- 二次元のアニメ・ゲームキャラクター
- アイドル・俳優・スポーツ選手などの実在の人物
- 鉄道や動物などの人物以外のもの
また、一人を推すこともあれば、グループ全体を応援する「箱推し」という形もあります。
推し活の具体的な活動
推し活には様々な形があり、ファンは自分に合った方法で推しを応援しています。主な活動は以下の5つに分類できます。
主な活動 | 具体的な内容 |
---|---|
推しに会いに行く |
|
推しのグッズに触れる |
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推しに染まる |
|
推しを感じる |
|
推しを広める |
|
推し活にはさまざまな活動があり、ファンが自分に合った方法で推しを応援しています。
推し活にはファングッズが必要
推し活には、ファングッズが欠かせません。これらのグッズは推しへの愛情を表現する手段であり、推しとの距離を縮めるツールといえます。人気のあるグッズには以下のようなものがあります。
- 推しの顔写真入りキーホルダー
- Tシャツやバッグなどの日用品
- オリジナルデザインのステッカーやバッジ
最近では、オリジナルグッズを制作してSNSで発信するなど、楽しみ方にも変化が見られます。手作りの推しグッズがきっかけで他のファンとの交流が広がり、新たな出会いの機会にもなっています。
小ロット印刷によるオリジナルグッズ作成
推し活グッズを製作する際、多くの方が直面するのが生産数の問題です。ここで重要になるのが「ロット」という概念です。
ロットとは
ロットとは、製品を作る際の最小単位です。製品を作る際には、小ロット生産と大ロット生産に分けられることがあります。小ロット生産は、少ない量で生産することです。少ない量のため単価は高くなりますが、必要な数量だけを作ることができるため、トータルコストを抑えられます。また在庫を多く抱えることがないため、保管スペースの用意も必要ありません。一方、大ロット生産は、一度に製品を大量生産することです。総数が大きいため、単価を安くできます。
印刷の場合は、ロットによって印刷方式を使い分けるのが一般的です。
大ロットの場合はオフセット印刷、小ロットの場合はデジタル印刷で印刷するケースが多く見受けられます。
小ロット印刷の特徴
小ロット印刷でプラスチックカードなどのグッズを作成する際の特徴は以下の4つです。
- 1枚から印刷できるため、費用が安い
- 内容を変えて印刷できる
- 在庫を抱える心配がない
- 環境にやさしい(無駄な廃棄物が出ない)
1. 1枚から印刷できるため、費用が安い
小ロット印刷の一番の特徴は、コストを抑えられます。
オフセット印刷では、刷版と呼ばれる原版フィルムが必要ですが、デジタル印刷は刷版が必要ないため、印刷コストを削減できます。小ロット印刷と大量印刷のトータルコストで比較すると、小ロット印刷の方が割高になるケースがありますが、必要な分だけ印刷することで大幅なコストダウンが実現できます。
2. 内容を変えて印刷できる
複数の絵柄を印刷できるのも特徴の一つです。版が必要なオフセット印刷では、同じ内容のものを大量に印刷しますが、版が不要なデジタル印刷で版代のコストを抑えることができるため、複数種の同時印刷にも向いています。異なるターゲットや地域に合わせたものを作成して、効果を測定するマーケティングの資料としても利用できます。
3. 在庫を抱える心配がない
大量印刷では、1枚当たりのコストを下げるため多くの枚数を印刷しますが、大量の在庫を抱えるリスクもあります。一方、小ロット印刷は必要な時に必要な枚数だけ印刷できるため、過剰在庫のリスクを軽減できます。
4. 環境にやさしい(無駄な廃棄物が出ない)
脱炭素社会に向けた取り組みが実施される中で、小ロット印刷に適したデジタル印刷は、二酸化炭素の排出量を削減できる点でも注目を集めています。2009年の日本印刷技術協会の発表の際に、少ない印刷枚数の場合、デジタル印刷の方がオフセット印刷と比べて環境優位性を持つことが証明されました。なぜならオフセット印刷の刷版工程では、二酸化炭素の排出量が全体の40〜50%を占め、刷版数の増加に応じて二酸化炭素排出量も増加するからです。そういった理由から版を使用しないデジタル印刷は、環境に配慮した方法といえます。
プラスチックカードの小ロットに適した印刷方法
プラスチックカードの小ロットの作成では、3つの印刷方法が適しています。
- デジタル印刷
- 昇華転写印刷
- 再転写印刷
それぞれの印刷方法を知り、用途に合わせて使い分けましょう。
1. デジタル印刷
デジタル印刷は業務用デジタル印刷機を使用して、プラスチックのシートに印刷する方法です。版が必要ないため低価格で印刷できますが、オフセット印刷と比べると、印刷品質はやや劣ります。1,000枚まではデジタル印刷、1,000枚以上はオフセット印刷をおすすめします。デジタル印刷は印刷スピードが遅く、大量印刷には向いていません。
2. 昇華転写印刷
昇華転写印刷や次に紹介する再転写印刷は、プラスチックカード専用の卓上型サイズのプリンタで無地のカードに1枚ずつ印刷する方法です。顔写真入りの社員証や学生証、認定証の使用用途に使われます。顔写真以外にもデザインはもちろん、氏名や番号などの可変テキストを含む印刷にも対応しています。
3. 再転写印刷
再転写印刷はカードに直接印刷するのではなく、再転写フィルムに印刷し、プラスチックカードの表面にフィルムを転写する印刷方法です。カードの全面に印刷でき、ICカードの印刷にも適しています。コスト面では昇華転写印刷の方が安いですが、色の再現性では再転写印刷の方が優れています。
参考:【決定版】昇華転写と再転写の特性について比べてみた!
小ロット印刷の納期の目安
小ロット印刷の納期の目安は以下になります。
デジタル印刷 | 昇華転写印刷 | 再転写印刷 | |
---|---|---|---|
納期 | 約2週間~ | 約1週間~ | 約1週間~ |
枚数 | 100枚〜1,000枚 | 1枚〜100枚 | 1枚〜100枚 |
印刷品質 | ◎ | ▲ | ◯ |
※枚数や条件によって変動します。
デジタル印刷の場合、通常のオフセット印刷と同じ工程(印刷→ラミネート→型抜き→検品)のため、約2週間以上、納期がかかりますが、昇華転写や再転写加工の場合は、プリンタの設定→印刷→検品の工程に変わるため、条件によっては約1週間での作成も可能です。
小ロット印刷はファングッズやトレカの作成におすすめ
小ロット印刷は、ファングッズやトレカの作成に最適です。
最近、人気の商品がSNS風クリアカードです。印刷された推しと日常風景を一緒に写真に収められるのが流行している理由です。また、推し活を楽しむトレーディングカードも定番アイテムの一つです。推しのキャラクターや写真に文字を入れ、チェキ風のデザインも人気があります。ブラインド商品やベタ付けノベルティとしてもおすすめです。
チェキ風、プリクラ風のサンプルをデジタル印刷で作りました。
参考:プラスチックカードの専門メーカーが作るオリジナルの推し活グッズ4選
ビジネス展開の具体例
ファングッズの市場において、小ロット印刷を活用した戦略的な商品展開が新たなビジネスチャンスを生み出しています。市場で実績のある展開パターンと、メリットをご紹介します。
- シリーズ商品の展開
複数デザインの同時展開によるコレクション性の創出- 【メリット】
- 需要予測に基づく段階的な生産計画
- 地域限定商品
各地域の特性に合わせたデザイン展開- 【メリット】
- 在庫リスクを抑えた地域テストマーケティング
- 期間限定商品
イベントや季節に合わせた限定デザイン- 【メリット】
- 需要予測が難しい商品の試験的展開
さいごに
推し活は、好きなアニメやアイドルを自分に合った様々な方法で楽しむことができます。その需要に合わせたグッズの展開が新たな市場を生み出します。
小ロット印刷は1枚から注文できるため、豊富な種類のグッズを作成する際に適しています。その他にも印刷コストや在庫を抱えるリスクを軽減できるなど、オフセット印刷にはないメリットがあります。また環境にもやさしいため、SDGsへの取り組みにもつながります。
カーディナルでは、多品種小ロット生産を得意としています。さまざまなデザインのトレーディングカードを少量作成したいといった要望も大歓迎です。推し活グッズ制作で悩まれている方はお気軽にご相談ください。