代理店・印刷会社がプラスチックカード案件を受託・発注するためのガイド
- 2026.05.11

クライアントから「プラスチックカードを作りたい」という依頼が来たとき、自社では対応できないと感じたことはないでしょうか。会員証・社員証・イベントスタッフパスなど、プラスチックカード案件は広告代理店や印刷会社にも意外と多く舞い込んできます。ただ、専門メーカーへの発注経験がなければ、「何を確認すればいいか」「どう段取りを組めばいいか」がわかりにくいものです。
この記事では、代理店・印刷会社がプラスチックカード案件を受託し、専門メーカーへスムーズに発注するための手順と注意点を解説します。
【目次】
代理店・印刷会社がプラスチックカード案件を外注するときの全体像
プラスチックカードの外注案件は、「クライアントからの依頼受付→仕様ヒアリング→メーカーへの発注→(校正・確認)→納品」という流れで進みます。チラシや名刺の印刷発注と似た部分もありますが、素材・加工・機能の3軸でそれぞれ選択肢があり、プラスチックカード固有の確認事項が存在します。
まず、カードの「素材」「加工」「機能」の3軸で仕様が決まる点が、紙媒体とは大きく異なります。PVCやPETといった素材選択、サインパネル・箔押しといった加工、磁気ストライプやバーコードといった機能のそれぞれで選択肢が分かれるため、クライアントからの情報が曖昧なまま発注を進めると、後から修正が必要になるリスクがあります。
代理店・印刷会社にとって重要なのは、「自社で何ができて、何をメーカーに委ねるか」の役割分担を明確にしておくことです。デザインデータの作成は自社で対応し、製造・加工・梱包は専門メーカーへ委託するという分担が一般的です。カードマーケットでは、こうした代理店・印刷会社からのOEM受注にも対応しており、エンドクライアントへの納品物として仕上げることも可能です。
クライアントからヒアリングすべき仕様項目チェックリスト
ヒアリングの精度が、その後の進行のスムーズさを決めます。以下の項目は発注時にメーカーから必ず確認される内容です。漏れがあると見積もりが出なかったり、校正段階で大幅な修正が必要になったりする原因となります。
基本仕様
- 用途(会員証・社員証・スタッフパスなど)
- カードサイズ(標準JIS規格85.6×54mmか、特殊サイズか)
- 製作枚数(総数と種類別の内訳)
- 素材(PVC・PETなど)
- 印刷面(片面・両面)
- カラー指定(4色フルカラー・特色など)
- 透明素材を使用する場合は白引きの要否
加工・機能
- 磁気ストライプの有無と規格
- バーコード・QRコードの有無
- サインパネル・箔押しの有無
- 個人名・番号などのバリアブル(可変)加工の有無(印字・エンボス・顔写真加工など)
- 穴あけ加工の有無
参考:カードの加工一覧
スケジュール・納品
- 希望納期
- 納品先と梱包方法(カード単体・個包装・封入など)
- 入稿データ(AI形式が原則)の準備状況
特にバリアブル加工が絡む案件では、氏名・番号データなどの提供タイミングとフォーマットを事前に確認しておくことが重要です。データの準備が遅れると、その分だけ全体スケジュールに影響します。
製造メーカー選定で確認すべき4つのポイント
プラスチックカードの製造を外注する際、どのメーカーを選ぶかは案件の仕上がりに直結します。代理店・印刷会社として確認しておきたいのは、以下の4点です。
① OEM・秘密保持への対応
代理店・印刷会社がクライアントへの納品物として発注する場合、メーカー名をエンドクライアントに知らせたくないケースが少なくありません。OEM対応の可否と、場合によっては秘密保持契約(NDA)が締結できるかどうかを確認してください。カードマーケットでは同業他社・代理店からの相談実績があり、製造元を伏せた形での納品にも応じることができます。
② 品質管理体制
国内自社工場での製造か、海外委託かによって、品質の均一性や不良対応の速さが変わります。少し工程が増えても品質トラブルのリスクを抑えたい案件では、国内一貫製造のメーカーを選ぶことが現場での判断基準になります。長年にわたってプラスチックカード製造に特化してきた知見があるかどうかも、メーカー選びの目安になります。
③ ロット対応範囲
クライアントの規模によって、必要な製作枚数は大きく異なります。大口案件だけでなく、数百枚から数千枚規模の小ロットにも対応できるメーカーを選んでおくと、案件の幅が広がります。特に複数デザインをそれぞれ少量ずつまとめて製作したいケースでは、メーカー側の製造体制が対応可能かどうかを事前に確認してください。
④ 納期の現実的な目安
「急ぎで欲しい」というクライアント要望に応えるためには、メーカーの通常納期と急ぎ対応の可否を把握しておく必要があります。磁気エンコードやバリアブル印字が絡む案件は工程が増えるため、通常より余裕を持ったスケジュールが必要です。発注前に「この仕様でいつ納品できるか」を確認してからクライアントに納期を提示するのが、安全な進め方です。
入稿・校正フローと発注側が準備すること
メーカーへの発注が決まったら、次はデータ入稿と校正のフローです。プラスチックカードの印刷では、紙媒体と一部異なる注意点があります。
入稿データの要件
入稿データはAI(Adobe Illustrator)形式が原則です。画像はリンク形式のまま元画像ファイルを一緒に添付し、フォントはアウトライン化が必須です。なお、プラスチックカードは特別な指示がない限り角丸(約3R)が標準仕様です。デザイン作成時はあらかじめ角丸を考慮したレイアウトにしておくと、仕上がりとのズレを防ぐことができます。
色の扱い
プラスチックカードはコート紙と発色が異なるため、初めて発注する素材・色の組み合わせの場合は、本番前に色校正を依頼することをおすすめします。特に白引き指定がある透明カードや、金・銀インクを使う案件は、データ上の見た目と仕上がりが異なることがあります。
校正について
カードマーケットの校正は、量産と同じ体制・工程で行う本機校正です。仕上がりの再現性が高い反面、校正だけで約2週間ほどの納期がかかります。クライアントへのスケジュール提示の際は、「校正に2週間+本番製造の納期」として全体日程を組むことが重要です。校正のやり取りを見落としてスケジュールが後ろ倒しになるケースが多いため、受注時点で余裕を持った日程を確保してください。
代理店・印刷会社が陥りやすいトラブルと回避策
実際の現場では、次のようなトラブルが起きやすいです。事前に把握しておくことで、ほとんどは防ぐことができます。
● エンボス加工の文字種制約を見落とす
エンボス加工(文字や数字を凸状に浮き上がらせる加工)は、JIS規格の英数字・一部記号にしか対応しておらず、漢字・ひらがなへの適用はできません。クライアントから「名前を浮き上がらせたい」というデザイン要望が来たとき、漢字名の場合はエンボスではなく印字での対応に切り替える必要があります。発注前の仕様確認段階でこの点を押さえておくと、後工程での設計変更を防ぐことができます。
参考:エンボス加工とは?印刷の仕様やプラスチックカード作成時のポイントを解説
● 磁気カード・バーコードの読み取りテストを省略する
磁気エンコードやバーコードが絡む案件では、全数納品の前に少数のテストカードでシステム読み取りの確認を行うことを強くおすすめします。印刷上は問題なくても、クライアント側のリーダー・システムと規格が合わない場合があります。全数発注後に発覚すると、大幅なロスや再発注につながります。
● 納期と工程数のミスマッチ
サインパネルや箔押し、磁気エンコードやバリアブル加工といったオプション加工が重なると、それぞれ別工程として製造フローが増えます。「通常の印刷と同じ感覚」でクライアントに納期を約束した後、実際は製造に時間がかかるとわかるケースも少なくありません。加工の組み合わせが複雑な案件ほど、見積もりと同時に納期確認を行うことが重要です。
● ロット・種類数の確認漏れ
「100枚を5種類」と「500枚を1種類」では、製造コストも工程も大きく異なります。クライアントからの依頼が「合計〇〇枚」という形で来た場合、種類別の内訳が確定していないと正確な見積もりが取れません。枚数と種類数をセットで確認することを習慣にしてください。
FAQ:よくある質問
- Q. 代理店・印刷会社からの発注にも対応していますか?
- A. はい、対応しております。同業他社や代理店・印刷会社からのOEM受注実績があります。クライアントへ直接納品する場合も、カードマーケットから貴社に納品する場合も、ご要望に応じて対応します。
- Q. クライアントにメーカー名を知られたくない場合も受け付けてもらえますか?
- A. 対応可能です。ご要望に応じて秘密保持についてのお取り決めも承ります。詳細はお問い合わせください。
- Q. 小ロット・急ぎの案件でも相談できますか?
- A. はい。数百・数千枚規模の小ロットから対応しており、急ぎの案件についても製造状況を踏まえてご相談の上で対応できるケースがあります。まずはお問い合わせいただくことをおすすめします。
- Q. デザインデータを自社で作成した場合、そのまま入稿できますか?
- A. 入稿規格(AI形式、フォントのアウトライン化等)を満たしていれば対応できます。初めての発注で不安な場合は、入稿前にデータの確認をご依頼いただくことも可能です。
- Q. 見積もりだけ先に取ることはできますか?
- A. 可能です。用途・枚数・素材・加工・希望納期が決まっていれば見積もりフォームからご依頼いただけます。仕様が固まっていない段階でも、お問い合わせフォームからご相談ください。
まとめ
代理店・印刷会社がプラスチックカード案件を受託・外注する際に押さえておきたいのは、ヒアリング・メーカー選定・入稿と校正の各ステップに「プラスチックカード固有の確認事項」が存在するという点です。エンボス加工の文字種制約や磁気・バーコードの読み取りテストといった現場知見は、案件を円滑に進める上で事前に把握しておく価値があります。メーカー選定ではOEM対応・品質管理体制・ロット柔軟性・納期対応力の4点を軸に判断すると、案件の特性に合ったパートナーを選びやすくなります。プラスチックカード案件の発注先をお探しの場合は、カードマーケットを候補の一つにご検討ください。
プラスチックカードの製作はカードマーケット(カーディナル株式会社)へご相談ください
代理店・印刷会社としてクライアントからプラスチックカード案件を受けた際は、カードマーケットへご相談ください。
カーディナル株式会社は、創業50年以上・国内自社工場を持つプラスチックカード製造の専門メーカーです。長年の経験と技術の積み重ねを背景に、取引社数6,000社以上の実績を持ち、会員証・診察券・社員証・イベントパスなど、あらゆる用途のカードに対応しています。「どんな仕様にすればいいかわからない」「小ロットでも対応してほしい」といったお悩みにも、専門スタッフが丁寧にご提案いたします。品質管理体制や製造工程については、【品質へのこだわり】ページで詳しくご紹介しています。






