
【プラスチックカード印刷ガイド】オフセット・シルクスクリーン・デジタル印刷の違いとは?プラスチックカードの印刷方法を徹底解説!
- 2025.06.11

プラスチックカードは、会員証やIDカード、イベントパス、販促用のノベルティなど、さまざまな用途で使われています。しかし、いざカードを作ろうとしたとき、「どの印刷方法を選べばよいのか?」と迷う方も多いのではないでしょうか。
印刷方法によって、仕上がりの美しさや耐久性、コスト、適したデザインが大きく異なります。特にプラスチックカードの印刷には、紙とは異なる特性が求められるため、それぞれの印刷方式の違いを理解することが重要です。
この記事では、プラスチックカードの印刷に使われる3つの主要な方法である 「オフセット印刷」「シルクスクリーン印刷」「デジタル印刷」 を詳しく解説し、それぞれの特徴やメリット・デメリット、用途別の選び方について紹介します。
「高級感のある仕上がりにしたい」「特殊なデザインを活かしたい」「少量から低コストで作りたい」など、目的に応じた最適な印刷方法を選べるようになるはずです。ぜひ最後までご覧ください。
【目次】
プラスチックカードの印刷方法とは?
紙と同じ印刷方法?プラスチックカードならではの違いとは
プラスチックカードの印刷には、「オフセット印刷」「シルクスクリーン印刷」「デジタル印刷」の3種類が一般的です。これらは紙の印刷にも使われる方法ですが、プラスチック素材の特性に合わせた工夫が必要になります。
例えば、紙はインクを吸収するのに対し、プラスチックはインクを弾くため、専用のインクや表面処理を施さなければなりません。また、カードの耐久性を高めるためにUV硬化インクを使用したり、印刷後にラミネート加工を行うこともあります。
このように、印刷方法自体は紙と共通していても、プラスチックカードならではの技術や工程が加わるのが特徴です。
プラスチックカードの印刷方法3種類
①オフセット印刷:高精細なフルカラー印刷が可能で、大量生産に最適
・販促用カードやメンバーズカードなど
②シルクスクリーン印刷:鮮やかな発色と立体的な仕上がりが特徴で、高級感のあるカードに最適
・VIPカードやデザイン性の高いカードなど
③デジタル印刷:小ロット・短納期に対応でき、可変情報の印刷に最適
・版が不要で、複数種のデザインがあるカードなど
これらの印刷方法にはそれぞれメリット・デメリットがあり、用途やデザインによって最適な方法が異なります。
オフセット印刷の特徴とメリット・デメリット
オフセット印刷とは?
オフセット印刷は、最も一般的な商業印刷の手法であり、プラスチックカードの印刷にも広く利用されています。この方法では、版(プレート)を作成し、インクをゴムローラーを介して転写しながら印刷します。紙の印刷にも使われる技術ですが、プラスチックカードの場合は専用のインクや表面処理が必要になります。
特に、大量生産向けの印刷方法として適しており、フルカラーの高精細なデザインを再現できる点が特徴です。
オフセット印刷のメリット
①高精細なフルカラー印刷が可能
- グラデーションや細かいデザインの再現性が高く、美しい仕上がりが期待できる。
- 写真や複雑なグラフィックの印刷に適している。
②特色インクも使用可能
- フルカラーでは難しい微妙な色合いも、特色インクを使用することで表現できる場合がある。
③コストパフォーマンスが高い(大量印刷向け)
- 版を作成するため初期コストはかかるが、大量生産するほど1枚あたりのコストが抑えられる。
- 数千枚以上の印刷に適している。
- 特色インクを使うことで、色数を抑えることも可能
オフセット印刷のデメリット
①多品種・少量印刷には不向き
- 版の作成が必要なため、小ロットや複数種類のカード製作には不向きで、特に1,000枚以下の場合はコストが高くなります。
②納期が比較的長い
- 版の作成や印刷工程があるため、デジタル印刷と比べて納期が長くなることがあり、特に短納期での対応が難しい場合があります。
③色の微調整が難しいときがある
- CMYKの掛け合わせで色を再現する場合、完全に希望通りの色にならないことがあるため、デザインによっては色校正を入念に行う必要があります。
オフセット印刷に向いているカードの種類
- 企業のメンバーズカード、会員証:高品質な仕上がりが求められる
- ギフトカード、プリペイドカード:細かいデザインやブランドロゴを高品質に印刷可能
- ポイントカード、診察券:大量生産しやすく、コストを抑えられる
- イベントスタッフパス:高解像度の写真入りデザインにも対応可能
シルクスクリーン印刷の特徴とメリット・デメリット
シルクスクリーン印刷とは?
シルクスクリーン印刷は、インクをメッシュ状の版(スクリーン)を通して印刷する方法です。もともとは布やプラスチック、金属など幅広い素材に対応できる印刷技術として発展してきました。プラスチックカードの場合、厚みのあるインクを使用するため、発色が良く、立体感のある仕上がりが可能なのが特徴です。
特に特色インク(CMYKでは表現できない特別な色)を使用できるため、企業のブランドカラーやメタリックカラーなどの再現に適しています。また、インクを厚く盛ることで、指で触ってもわかるような立体的な仕上がりにすることも可能です。
シルクスクリーン印刷のメリット
①高発色で鮮やかな仕上がり
- 通常のオフセット印刷よりもインクの発色が良く、特に単色のデザインに適している。
- 黒や赤などの濃い色もはっきりと印刷可能。
②メタリック色が使える
- 金や銀、パールインクなど、特別なインクを使用できる。
- ロゴやブランドカラーを忠実に再現したい場合に最適。
③インクを厚盛りできる(立体感のある仕上がり)
- 触ってわかるエンボスのような効果を出せるため、高級感を演出できる。
- ロゴや文字に厚盛り印刷を施すことで、デザインにアクセントを加えられる。
④耐久性が高い
- インクの層が厚いため、摩擦や傷に強く、長期間使用するカードに適している。
シルクスクリーン印刷のデメリット
①細かいデザインの再現には不向き
- インクを厚く盛るため、細かい線や文字、複雑な表現は難しい。
②1色ごとに版が必要で、コストが高くなる
- それぞれの色ごとに版を作成しなければならず、シルクスクリーン印刷の版はオフセットよりも高いため、コストがかかる。
③大量印刷には向いていない場合がある
- 印刷の工程が手作業に近いため、大量生産よりも小〜中ロット向き。
- 色ごとに乾燥時間が必要なため、納期が長くなる場合がある。
シルクスクリーン印刷に向いているカードの種類
- VIPカード・プレミアム会員証:高級感のある仕上がりが求められる
- 限定版メンバーズカード:特色インクを使用し、特別感を演出
- 企業のブランドカード:コーポレートカラーを忠実に再現
- スポーツ・音楽イベントの特別パス:厚盛り印刷でデザイン性を高める
デジタル印刷の特徴とメリット・デメリット
デジタル印刷とは?
デジタル印刷は、オンデマンド印刷の1つで、版を作成せずにデータから直接印刷する方法です。オフセット印刷やシルクスクリーン印刷と異なり、印刷の前に版を作る工程が不要なため、短納期・小ロットに対応しやすいのが特徴です。
また、1枚ごとに異なるデザインを印刷できるため、可変情報(シリアル番号・名前など)を含むカードの作成にも適しています。
デジタル印刷のメリット
①小ロット・短納期に対応しやすい
- 版を作る必要がないため、1枚からでも印刷可能。
- 迅速な印刷が可能で、納期を短縮できる場合がある。
②1枚ごとに異なるデザインが可能(可変印刷)
- 版が必要ないため、シリアルナンバーや名前なども個別に印刷できる。
③コストを抑えやすい(少量印刷向け)
- 版を作る必要がないため、少量印刷でもコストが抑えられる。
④フルカラー印刷に対応
- 写真やグラデーションなど、細かいデザインも比較的きれいに再現できる。
- オフセット印刷と比べると若干劣るが、十分なクオリティの印刷が可能。
デジタル印刷のデメリット
①大量印刷にはコストが高くなる
- 少量印刷向けのため、大量に印刷すると1枚あたりのコストが高くなる。
(数千枚以上の印刷には、オフセット印刷のほうが適している。)
②インクの定着性がやや弱い
- オフセット印刷やシルクスクリーン印刷に比べ、耐久性がやや劣る場合がある。
③特色インクや厚盛り印刷には不向き
- シルクスクリーン印刷のような金・銀などの特色インクには対応していない。プロセスカラー(CMYK)のみ。
- 厚盛り印刷や立体的なデザインには適していない。
デジタル印刷に向いているカードの種類
- イベントの入場パス・スタッフパス:短納期、可変情報の印刷が必要
- カードサイズ以外のIDカード:名前や顔写真など、個別情報を印刷
- プロモーション用カード:少量の販促用カードを手軽に作成
印刷方法を選ぶ際のポイント
プラスチックカードを作成する際、適切な印刷方法を選ぶことは非常に重要です。しかし、どの印刷方法が最適なのか、判断に迷うことも多いでしょう。ここでは、印刷方法を選ぶ際に考慮すべきポイントを紹介します。
1. デザインの再現性を重視する
✓ 写真やグラデーションをきれいに印刷したい ⏩️ オフセット印刷
✓ 単色でも鮮やかな発色を出したい ⏩️ シルクスクリーン印刷
✓ カードサイズ以外のカードに顔写真や氏名など個別情報を印刷したい ⏩️ デジタル印刷
特に、色の表現は印刷方法によって大きく変わるため、デザインの内容を考慮することが重要です。
2. コストと印刷枚数を考慮する
✓ 大量印刷(1,000枚以上)でコストを抑えたい ⏩️ オフセット印刷
✓ 少量(数百枚)でもコストを抑えたい ⏩️ デジタル印刷
✓ 高級感を出すためにコストをかけても良い ⏩️ シルクスクリーン印刷
大量生産向けのオフセット印刷と、少量対応可能なデジタル印刷ではコスト構造が異なります。注文枚数に応じて、最適な方法を選びましょう。
3. 納期の制約がある場合
✓ できるだけ早く納品したい ⏩️ デジタル印刷(※短納期対応が可能な場合がある)
✓ 多少時間がかかっても、大量に高品質な印刷をしたい ⏩️ オフセット印刷
✓ 特殊なインクや加工が必要なため、時間をかけてもよい ⏩️ シルクスクリーン印刷
特に、イベントで使用するカードは納期がシビアなことが多いため、短納期で対応できるデジタル印刷を活用するのも選択肢の一つです。
4. カードの用途を明確にする
✓ 長期間使用するメンバーズカード ⏩️ 耐久性の高いオフセット印刷
✓ VIPカードなどの特別仕様 ⏩️ 高級感を演出できるシルクスクリーン印刷
✓ イベント用の一時的なパス ⏩️ 短納期・小ロットに対応できるデジタル印刷
用途を明確にすることで、最適な印刷方法が見えてきます。
考慮ポイント | オフセット印刷 | シルクスクリーン印刷 | デジタル印刷 |
---|---|---|---|
デザインの再現性 | 写真やグラデーションに最適 | 単色で鮮やかな発色 | 個別情報の印刷に適する |
コストと印刷枚数 | 大量印刷(1,000枚以上)に適する | 数千枚程度が経済的 | 少量印刷(100枚〜1,000枚)に適する |
納期 | 大量印刷に時間がかかる | 特殊インクや加工に時間がかかる | 短納期対応が可能な場合がある |
カードの用途 | 長く使う会員証や診察券に適する | VIPカードなど特別仕様に適する | イベントなどの一時的なカードに適する |
これら4つのポイントを踏まえ、最適な印刷方法を選ぶことで、理想のカードを作ることができます。また、ベースに金や銀をシルクスクリーンで印刷し、その上に細かいデザインをオフセットで印刷するといった組み合わせも可能です。
まとめ:目的に合った印刷方法で理想のプラスチックカードを作ろう
プラスチックカードの印刷には、主にオフセット印刷・シルクスクリーン印刷・デジタル印刷の3つの方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
「大量印刷でコストを抑えたい」「特別なVIPカードを作りたい」「短納期で個別情報入りのカードを作りたい」など、カードの用途や目的によって最適な印刷方法は異なります。どの印刷方法を選ぶかによって、仕上がりの品質やコスト、納期が大きく変わるため、用途に合った最適な方法を選択することが重要です。
もし、どの印刷方法が最適かわからない場合は、専門のプラスチックカード印刷会社に相談するのも一つの手です。適切なアドバイスを受けることで、理想のプラスチックカードを実現できます。
カーディナルは創業以来50年以上、一貫してプラスチックカードを専門に印刷を行ってきました。長年の経験と豊富な知識を持ったスタッフがお客様の専任担当となり、迅速かつ丁寧に対応いたしますので、プラスチックカード作成でお困りの方はお気軽にご相談ください。