
PET-GカードとリサイクルPVCカード、環境に優しいのはどっち?意外な違いを徹底比較!
- 2025.06.25

ここ数年、地球温暖化やプラスチックごみ問題が注目される中、企業の環境への取り組みがますます大切になっています。毎日使う機会の多いプラスチックカードも例外ではなく、どんな素材でできているかが環境に与える影響は無視できません。多くの企業やユーザーが、これまでのプラスチックカードに代わる、もっとサステナブルな選択肢を探しています。
こうした背景から、プラスチックカード業界では環境に優しい素材への切り替えが急務となっています。しかし、「エコなカード」と一言で言っても、素材や作り方はさまざまで、どれが本当に環境に良いのかを見極めるのはなかなか難しいですよね。例えば、以前から環境配慮型のプラスチックカードとして人気のPET-Gカードと、近年新たに登場してきたリサイクルPVCカードはどちらも環境に配慮したカードとして注目されていますが、それぞれ異なる特徴と環境への影響を持っています。
この記事では、PET-GとリサイクルPVCという2つの主要な環境配慮型カード素材に注目し、その製造過程、原材料の使われ方、そしてCO2排出量などを詳しく比較していきます。どちらのカードがよりエコな選択肢なのかを明らかにして、皆さんの環境目標にぴったりなカードを選ぶ参考にしてみてください。
【目次】
PET-Gカードの環境特性:バージン材100%ってどうなの?
PET-G(ポリエチレンテレフタレートグリコール)は、以前から環境に配慮したカード素材として人気がありました。クレジットカードやポイントカードなど、普段使いのカードに求められる丈夫さ、加工のしやすさ、そして印刷のしやすさに優れているのが特徴です。また、PVC(ポリ塩化ビニル)に比べて、燃やした時に有害なガスが出にくいとされていて、環境への負担が少ないとよく言われています。
しかし、PET-Gカードを作る際には、今のところ、ほとんどがバージン材(新品の原材料)を100%使っています。この点が、PET-Gカードの環境面での大きな特徴であり、同時に議論のポイントにもなっています。
バージン材100%が環境に与える影響
バージン材を100%使うということは、新たな石油資源などから原材料を採掘・精製する必要があることを意味します。これにより、以下のような環境負荷が発生します。
- 限りある資源を新しく使う量が増える: 地球上の限りある資源を新たに採掘し続けるため、資源枯渇のリスクを高めます。
- 作る過程でエネルギーとCO2をたくさん使う: 原材料の採掘、精製、そして重合といった一連の製造プロセスにおいて、大量のエネルギーが消費され、それに伴い二酸化炭素(CO2)が排出されます。リサイクル素材を使用する場合と比較して、この段階での環境負荷は高くなる傾向にあります。
環境面でのPET-Gカードの良い点と課題
【良い点】
- 燃やした時に有害なガスが出にくい: PVCと比較して、焼却時にダイオキシンなどの有害物質が発生しにくいとされています。これは廃棄処理の観点から見ると、一定の環境メリットと言えます。
- リサイクルの可能性(理論的には): PET-G自体はリサイクル可能な素材ですが、カードとして加工されたPET-Gは、他の素材との複合や少量であることから、現状では一般的なリサイクルルートに乗りにくい課題があります。
【課題】
- バージン材に頼りすぎ: 前述の通り、新規資源の消費と、それに伴う製造段階での高いエネルギー消費・CO2排出は、持続可能な社会への貢献という観点では大きな課題となります。
- リサイクルの仕組みがまだ整っていない: 素材としてのリサイクルは可能でも、カードとして実際にリサイクルされるケースはまだ限定的であり、多くが廃棄物として処理されているのが現状です。
リサイクルPVCカードの環境特性:廃棄される素材を活かして資源を循環!
PET-Gカードがバージン材を主に使用するのに対し、リサイクルPVCカードは、その名の通り、リサイクルされたPVC(ポリ塩化ビニル)素材を積極的に活用することで、環境負荷の低減を目指しています。このアプローチは、資源の有効活用と廃棄物削減という点で、持続可能な社会への貢献に大きく寄与します。
リサイクルPVC素材ってどんなもの?どうやって作るの?
リサイクルPVCカードに用いられる素材は、主に以下のような廃材や端材から生まれます。
- 作る過程で出る端材や不良品: バージン材を製造する過程で発生する、従来廃棄されていたプラスチックの切れ端や、品質基準を満たせず市場に流通させることができなかったバージン材。
- 回収された使い終わったPVCカード: 一部のリサイクルシステムを通じて回収されたPVCカード。
これらの廃材は、細かく粉砕・洗浄され、必要に応じて不純物が除去された後、新たなカードの原材料として再利用されます。この工程を経て、新しいPVC樹脂を製造する代わりに、既存の資源を循環させる仕組みが構築されるのです。
廃材や端材を活かしてバージン材の使用量を大幅カット!
リサイクルPVCカードの最大の環境的メリットは、バージン材の使用量を大幅に抑制できる点にあります。製造時にリサイクル素材を混ぜ込むことで、新規に石油などの化石燃料からPVCを生産する必要が減少します。これは、有限な地球資源の消費を抑え、持続可能な資源利用を促進する上で極めて重要です。
リサイクルPVCカードが減らせるCO2排出量
バージン材の製造には、原材料の採掘、精製、そして化学的な重合プロセスにおいて多大なエネルギーとCO2が排出されます。これに対し、リサイクルPVCカードは、既存の廃材を再利用するため、これらの初期段階の過程を大幅に削減できます。
具体的なCO2排出量削減効果は、リサイクル材の含有率やリサイクルプロセスの効率によって異なりますが、一般的に、リサイクル素材を活用することで、バージン材から製品を製造する場合に比べて、CO2排出量を大幅に削減できることが研究で示されています。これにより、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量を抑制し、気候変動対策に貢献することが可能です。
このように、リサイクルPVCカードは、廃棄物の削減、限りある資源の節約、そしてCO2排出量の抑制という複数の側面から、環境への配慮を実現する有効な選択肢と言えるでしょう。
なお、カーディナルで使っているリサイクルPVCカードの素材は、素材製造過程で発生した廃棄される端材や市場に流通できなかった不良品を再利用しています。バージン材と比較して、石油由来の原料使用量を90%以上削減、また、素材の製造工程におけるCO2排出量も50%以上削減しています。
リサイクルPVCカードについては下記の記事で詳しく紹介していますので、ご覧ください。
参考:リサイクルPVCカードの可能性!端材活用で生まれ変わる次世代エコカード
徹底比較:PET-G vs リサイクルPVC、よりエコなカードはどっち?
これまでに、PET-GカードとリサイクルPVCカードそれぞれの環境特性を見てきました。ここからは、両者の具体的な比較を通じて、「よりエコなカード」はどちらなのかを深掘りしていきます。
①バージン材の使用量で比べてみる
- 【PET-Gカード】: 現状、ほとんどがバージン材100%で製造されています。これは、新たな石油資源を採掘し、精製・重合するプロセスが常に必要であることを意味します。
- 【リサイクルPVCカード】: 廃材や端材を原材料として活用するため、その含有率に応じてバージン材の使用量を削減できます。例えば、リサイクル率30%のカードであれば、新規のプラスチック製造量を30%削減していることになります。この点で、リサイクルPVCカードは資源の循環利用に貢献し、地球上の限りある資源の消費抑制に優位性があります。
②製造過程でのCO2排出量で比べてみる
- 【PET-Gカード】: バージン材の製造には、原材料の採掘から製品化までの全工程で、多くのエネルギーが消費され、それに伴い大量のCO2が排出されます。特に、初期の原材料製造段階での排出量が大きくなります。
- 【リサイクルPVCカード】: 廃材を再利用するため、バージン材の製造にかかるエネルギーとCO2排出量を大幅に削減できます。回収・粉砕・再加工のプロセスにもエネルギーは必要ですが、全体としては新規製造と比較して明らかにCO2排出量が少ないというデータが多数示されています。この点において、リサイクルPVCカードは地球温暖化対策に直接的に貢献すると言えます。
③カードの寿命全体で環境への負担を比べてみる
- 【PET-Gカード】: 焼却時に有害ガスが出にくいというメリットはありますが、現状、カードとしてのリサイクルインフラが十分に整っていないため、使用後は多くが廃棄物として処理される傾向にあります。
- 【リサイクルPVCカード】: 素材そのものがリサイクルされたものであり、再びリサイクル可能な場合もありますが、カードとして使用された後のリサイクルルートは、PET-G同様、まだ発展途上の段階です。
④丈夫さや加工のしやすさなど、環境性能以外で比べてみる
- 【丈夫さ】: 両素材ともに、一般的なカードとしての耐久性は十分に持ち合わせています。
- 【加工のしやすさ・印刷のしやすさ】: PET-GカードもリサイクルPVCカードも、オフセット印刷やシルクスクリーン印刷、磁気ストライプやその他多くのオプション加工など、カードに必要な基本的な印刷や加工に広く対応可能です。ただし、PET-Gカードは昇華転写加工には対応していません。
結論:よりエコなのはリサイクルPVCカード!
上記の比較から、現時点における「よりエコなカード」という視点では、リサイクルPVCカードに軍配が上がると言えます。
その理由は、限りある地球資源の新規消費を抑え、製造過程におけるCO2排出量を大幅に削減できるという明確な環境メリットがあるためです。PET-Gカードも有害ガス発生の少なさといった利点はありますが、バージン材100%に依存する点が、現在のサステナビリティの潮流においては大きな課題となります。
もちろん、リサイクル技術の進化やPET-Gのリサイクルインフラ整備が進めば、この評価も変わる可能性はあります。しかし、現段階で「環境配慮」を最優先するならば、リサイクルPVCカードがより現実的な選択肢となるでしょう。
比較ポイント | 優位なカード |
---|---|
製造時のバージン材の使用量 | PET-Gカード < リサイクルPVCカード |
製造時のCO2排出量 | PET-Gカード < リサイクルPVCカード |
カード使用後のエコロジー性 | PET-Gカード ≥ リサイクルPVCカード |
カードの耐久性・加工適正 | PET-Gカード ≤ リサイクルPVCカード |
よくあるご質問(FAQ)
- Q. PET-GカードやリサイクルPVCカードは、どのような印刷方式に対応していますか?
- A. 一般的に、いずれの素材もオフセット印刷やシルクスクリーン印刷の印刷方式に対応可能です。ただし、インクの定着性や仕上がりに影響するため、事前に印刷会社へ素材の適合性を確認することをおすすめします。
- Q. サステナブル素材を使ったカードは、どのような業種で採用が進んでいますか?
- A. 特に小売業、飲食業、ホテル・観光業、自治体などで導入が進んでいます。環境配慮を打ち出したい企業が「会員証」「ポイントカード」「認定証」「社員証」「スタッフパス」などで活用するケースが増加中です。
- Q.エコ素材のカードを採用することで、具体的にどんなPR効果がありますか?
- A.「環境配慮企業」としての姿勢を社外にアピールでき、ブランド価値の向上やSDGsへの貢献を表現する手段となります。また、採用時に専用マークや文言を印刷することで、利用者に対して企業のメッセージ性を伝える効果も期待できます。
まとめ
PET-GカードとリサイクルPVCカード、どちらを選ぶかは、皆さんの「どんな環境目標を達成したいか」と「カードをどう使いたいか」にかかっています。
環境への負荷をできるだけ減らしたいなら、リサイクルPVCカードが断然おすすめです。バージン材を使用する量を大きく減らせて、CO2の排出量も抑えられるので、地球にとても優しいと言えます。もちろん、焼却時の有害ガスが気になる場合はPET-Gカードも良い点がありますが、今はリサイクルの仕組みがまだ整っていないのが課題です。
カードの素材選びは、皆さんの環境への取り組みを見せる大切なメッセージにもなります。お客様や取引先にも「この会社は地球環境を考えてるんだな」と良い印象を与えられます。
カーディナルでは、皆さんの「こんなカードが欲しい!」という希望や、環境目標に合わせて、最適なエコカードをご提案しています。デザインから製造まで、しっかりサポートしますので、どんなことでもお気軽にご相談ください。