図書館・公共施設の利用者カードをプラスチックにする——バーコード・磁気対応の仕様と導入メリット
- 2026.04.20

図書館や公民館、スポーツ施設で長年使ってきた紙製の利用者カードが、傷みや読み取り不良でたびたびトラブルを起こしている——そんな経験をお持ちの担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。「更新のたびに再発行の手間がかかる」「バーコードが読めなくなってカウンターが混雑する」といった課題は、素材の見直しだけで大きく改善できることがあります。
この記事では、図書館・公共施設の利用者カードをプラスチック製に切り替える際の仕様選定のポイント、バーコード・磁気・ICチップの違いと選び方、導入時の確認事項までを解説します。
【目次】
図書館・公共施設の利用者カードにプラスチックが選ばれる理由
公共施設の利用者カードにプラスチックが選ばれる最大の理由は、耐久性と機械読取り精度の高さです。紙製カードは数年の使用で折れ・汚れ・バーコードの劣化が起きやすく、特にバーコード読取りの失敗は窓口での混雑に直結します。PVC素材のプラスチックカードは同じ形状でも格段に長持ちし、印字面の劣化が少ないためスキャン精度が安定します。
外観の信頼感も意外と見落とされがちですが、住民にとって「公式な発行物」として機能するカードの質感は、施設への信頼感に影響します。丈夫で質感のあるカードは、それだけで発行元への信頼を伝える効果があります。
再発行頻度の低減という実務上のメリットも大きいです。長期間使用できるプラスチックカードは再発行件数を減らせることが多く、大量発行が見込まれる施設の担当者から評価されています。
利用者カードが使われる主な場面と用途
公共施設での利用者カードは、主に以下の用途で活用されています。
● 図書館の貸し出し管理
図書館では、利用者カードのバーコードを書籍バーコードと合わせてスキャンすることで、貸出・返却・予約を管理します。毎日多くの人が使用するため、バーコードの読取り安定性とカードそのものの耐久性が特に重視されます。
● 公民館・スポーツ施設の受付管理
公民館やスポーツセンターでは、施設利用の受付時にカードで登録情報を照合するケースがあります。バーコードや磁気ストライプと受付システムを連携させることで、受付業務の効率化が図れます。
● ロッカー管理
プールや体育館では、ロッカーの鍵をカード型にして発行するケースがあります。利用者番号とロッカー番号を1枚に集約することで、紛失時の対処も簡潔になります。施設によってはICチップを使った電子錠と組み合わせるケースもありますが、まずバーコード・磁気での運用から始める施設が多いです。
● 資格証・修了証との兼用
自治体が運営する文化講座や資格認定制度では、修了証を兼ねた施設利用証として、1枚のカードに複数の機能を持たせる発注も入ることがあります。担当者氏名・資格番号・バーコードを同じカードに印字するケースが代表例です。
バーコード・磁気・ICチップ——機能仕様の選び方
利用者カードに搭載できる機能は主に3種類です。既存システムとの互換性を踏まえた上で選ぶことが、最も重要な判断基準になります。
バーコード印字
最も普及しており、既存の図書館システムや施設管理システムのほぼすべてに対応しています。QRコードや各種1次元バーコード(NW-7・CODE39等)にも対応可能で、カード表面への直接印字のため機能追加の部品コストがかかりません。バーコード面への引っかき傷や強い折り曲げに気をつければ、長期間安定して読み取れます。
現場でよく見るのは、「バーコードの種類を確認せず発注し、既存スキャナーで読めなかった」というトラブルです。NW-7(CODABAR)・CODE39・CODE128などの種類によってスキャナーの対応可否が変わるため、発注前に使用中のシステムのバーコード仕様を確認してください。
磁気ストライプ
カードの裏面に磁気ストライプを貼付し、専用リーダーで情報を読み書きする方式です。診察券・会員証などで長年使われてきた信頼性の高い仕組みで、JIS規格に対応した磁気エンコードが可能です。既に磁気リーダーを設置している施設では、設備をそのまま活用できる利点があります。
磁気ストライプへのデータ書き込みは製造時に行う場合と、施設側での書き込みに対応する場合があります。どちらで運用するかは発注前にシステム担当者と確認しておくことが必要です。
参考:磁気カードとは?ICカードとの違いや仕組み・種類を解説
ICチップ(ICカード)
非接触ICチップを内蔵したカードは、リーダーにかざすだけで認証できるため、受付の流れがスムーズになります。電子錠との連携、複数施設での共通利用など、バーコード・磁気よりも応用範囲が広いのが特長です。ただし、カード製造費用はバーコード・磁気より上がります。更新システム全体の見直しと合わせて導入を検討するケースが多く、まずシステム側の対応可否を確認することが先決です。
素材・加工の選択肢と仕様設計のポイント
素材の選び方
公共施設向けの利用者カードでは、環境配慮型の素材が多く選ばれてきたました。その代表格がPET-G(グリコール変性PET)と再生PETです。PET-GはPVCと同等の印刷・加工適性を持ちながら、焼却時に有害なガスが発生しない特長があります。再生PETは再生ペットボトルを25%以上使用した素材で、グリーン購入法への対応を意識した自治体・公共施設での採用が広がってきました。
ただし近年では、PET-Gがバージン材(新規原料)を使用している点への懸念から、廃棄PVCを再利用したリサイクルPVCの人気が高まっています。現在は再生PETとリサイクルPVCが環境配慮素材の主な選択肢となっており、調達仕様や施設の環境方針に合わせて選定するとよいでしょう。
バリアブル印刷(個人ごとの番号・氏名の印字)
利用者ごとに異なる番号や氏名をカードに印字する場合は、バリアブル印刷(可変印刷)に対応した製造が必要です。カードマーケットでは、数十枚の小ロットから数万枚規模の大ロットまで、バリアブル印刷に対応した製造を承っています。
大量発行が見込まれる自治体案件では、住民データと連携した印字を希望されるケースもあります。この場合、個人情報の取り扱い基準(Pマーク等)を持つ製造会社への発注が求められます。カードマーケットはPマーク(個人情報保護)を取得しており、氏名・住所・番号などの個人情報が含まれる印字データの取り扱いに対応した体制を整えています。
参考:バリアブル印刷(可変印刷)とは?顔写真・氏名・番号入りカードへの活用ガイド
発行枚数と製造体制
公共施設の利用者カードは、一斉発行で大量に必要になり、その後は追加・再発行で少数ずつ注文するパターンが多いです。初回大ロットと追加小ロットの両方に対応できる製造会社を選ぶことで、運用開始後の管理が楽になります。必要枚数が少ない場合でも対応できるよう、カードマーケットでは小ロットからの製作も承っています。
更新・リニューアル時に確認すべきこと
既存の紙製カードや旧来のプラスチックカードからリニューアルする際は、以下の点を事前に整理しておくと進行がスムーズです。
既存システムとの互換性確認
現在の図書館システムや施設管理システムが読み取れるバーコードの種類・磁気規格を確認します。バーコードの種類(NW-7・CODE39等)や磁気の規格(JIS1・JIS2等)が合わないと、既存の機器で読み取れないカードができあがってしまいます。発注前にシステムベンダーへの確認、または製造会社への相談を行ってください。
仕様の確認ができたら、本番発注の前にバーコード印字または磁気エンコードのみを施したテストカードを少数作成してもらい、実際のシステムで読み取れるかを確認することを強くお勧めします。全数発注後に「読み取れない」と判明するリスクを防ぐ、もっとも確実な方法です。
旧カードと新カードの切り替え計画
大規模施設では、旧カードと新カードが混在する切り替え期間が生じます。この期間中に両方のカードを読み取れるようにするか、特定の日に一斉切り替えにするかで、システム設定や窓口対応の手順が変わります。発注前に施設のシステム担当と合意しておくことを強くお勧めします。
個人情報管理体制の確認
住民の氏名・番号が印字されるカードの製造を依頼する場合は、製造会社の個人情報管理体制を確認することが重要です。Pマークや情報セキュリティに関する認証を取得している会社を選ぶことで、管理上のリスクを下げられます。
再発行・紛失時の対応フロー
利用者カードは紛失・破損による再発行が避けられません。「何枚から再発行注文できるか」「納期はどの程度かかるか」を発注先に確認しておくと、運用開始後のトラブルを防げます。
FAQ:よくある質問
- Q. 図書館カードの一般的なサイズはJIS規格(クレジットカードサイズ)でよいですか?
- A. はい、多くの図書館・公共施設ではJIS規格(85.6mm×54mm、厚さ0.76mm)のカードが採用されています。既存の読取り機器やカードホルダーとの互換性があるため、特別な理由がない限りこのサイズが実務的な選択肢です。大判や特殊サイズが必要な場合も対応可能ですので、お気軽にご相談ください。
- Q. バーコードカードと磁気カードはどちらを選べばよいですか?
- A. 判断の出発点は「今使っている読取り機器が何に対応しているか」です。磁気リーダーが設置済みなら磁気カード、バーコードスキャナーが主流ならバーコードカードの方が移行の手間を抑えられます。新規に設備を導入する場合は、バーコードの方がシステム対応の幅が広く、機器の選択肢も多いです。どちらが最適かは施設の運用体制によって変わるため、現在の設備情報を整理した上でご相談ください。
- Q. 数十枚の小ロットから発注できますか?
- A. 対応しています。初回発行後の補充・再発行分など、必要な枚数に応じて柔軟にご相談いただけます。氏名・番号入りのバリアブル印刷も小ロットから承っています。
- Q. 個人情報(氏名・番号)の印字が含まれる発注でも対応可能ですか?
- A. 可能です。カードマーケット(カーディナル株式会社)はPマーク(個人情報保護)を取得しており、自治体・医療機関・学校法人からの個人情報入りカードの製造実績があります。データの受け渡し方法や管理体制についても、発注前にご説明いたします。
まとめ
図書館や公共施設の利用者カードをプラスチックに切り替える際は、まず「既存システムとの互換性を確認すること」から始めるのが確実です。バーコード・磁気・ICチップのいずれが適切かは、今お使いの機器と運用体制によって変わります。素材はPVC・PET-Gか再生PETか、個人名印字が必要かどうかも事前に整理しておくと、発注がスムーズに進みます。仕様が固まっていない段階でも、カードマーケットに相談していただければ、用途と運用体制に合わせた仕様をご提案することができます。
プラスチックカードの製作はカードマーケット(カーディナル株式会社)へご相談ください
図書館・公共施設の利用者カードや施設利用証のプラスチック製作をご検討中の担当者の方は、ぜひカードマーケットへご相談ください。
カーディナル株式会社は、創業50年以上・国内自社工場を持つプラスチックカード製造の専門メーカーです。長年の経験と技術の積み重ねを背景に、取引社数6,000社以上の実績を持ち、会員証・診察券・社員証・イベントパスなど、あらゆる用途のカードに対応しています。「どんな仕様にすればいいかわからない」「小ロットでも対応してほしい」といったお悩みにも、専門スタッフが丁寧にご提案いたします。品質管理体制や製造工程については、【品質へのこだわり】ページで詳しくご紹介しています。







